塗装の基礎
光触媒塗料とは — 効く汚れと効きにくい場所、PIAJ認証135製品を機能別に数えると
この記事は、官公庁・法令・メーカー公式情報などの一次情報と出典を確認したうえで、塗装相場ナビ編集部が作成・更新しています。編集方針については運営ポリシーをご覧ください。
この記事のポイント
- 光触媒塗料は、酸化チタンの膜が紫外線で汚れを分解し、親水性で雨に洗い流させる仕組みです。光触媒工業会は「紫外線を当てることにより、「分解力」と「親水性」の作用を発揮します。」と説明しており、効果には光と水の両方が必要です
- 効くのは有機物の汚れ(油汚れ・雨筋など)で、無機質の汚れ(泥・黄砂・もらい錆・エフロ)は分解できません。塗料メーカーのピアレックス・テクノロジーズも「無機質の汚れ(エフロ、泥汚れ、もらい錆、黄砂)は分解することができません」と公式に説明しています
- 性能の物差しは光触媒工業会のPIAJマーク製品認証です。認証製品一覧(2026年9月8日現在・135製品)を機能別に数えると、セルフクリーニング効果(UV)の認証を持つのは64製品でした。ただし工業会は「PIAJマークは光触媒の発現する性能と安全性を認めた証であり、光触媒以外の性能や安全性を保証するものではありません」としています
- 「15年相当」「20年以上」といった年数の表記は、いずれも促進耐候性試験の時間からの換算値で、試験の種類も違います。メーカー自身も「施工後10年程度で点検されることをお勧めします」と案内しており、保証年数ではありません
- 当サイトの助成金データベース(56制度・2026年7月28日〜8月11日に自治体公式ページで確認)に、光触媒塗料を条件にした制度は1件もありませんでした(2026年9月27日確認)
※画像はイメージです(写真素材: Pexels)
この記事の要点
- 光触媒塗料は、酸化チタンの膜が紫外線で汚れを分解し、親水性で雨に洗い流させる仕組みです。光触媒工業会は「紫外線を当てることにより、「分解力」と「親水性」の作用を発揮します。」と説明しており、効果には光と水の両方が必要です。
- 効くのは有機物の汚れ(油汚れ・雨筋など)で、無機質の汚れ(泥・黄砂・もらい錆・エフロ)は分解できません。塗料メーカーのピアレックス・テクノロジーズも「無機質の汚れ(エフロ、泥汚れ、もらい錆、黄砂)は分解することができません」と公式に説明しています。
- 性能の物差しは光触媒工業会のPIAJマーク製品認証です。認証製品一覧(2026年9月8日現在・135製品)を機能別に数えると、セルフクリーニング効果(UV)の認証を持つのは64製品でした。ただし工業会は「PIAJマークは光触媒の発現する性能と安全性を認めた証であり、光触媒以外の性能や安全性を保証するものではありません」としています。
- 「15年相当」「20年以上」といった年数の表記は、いずれも促進耐候性試験の時間からの換算値で、試験の種類も違います。メーカー自身も「施工後10年程度で点検されることをお勧めします」と案内しており、保証年数ではありません。
- 当サイトの助成金データベース(56制度・2026年7月28日〜8月11日に自治体公式ページで確認)に、光触媒塗料を条件にした制度は1件もありませんでした(2026年9月27日確認)。
光触媒塗料とは — 「分解」と「親水性」で汚れを流す仕組み
見積もりで「光触媒塗料」という選択肢を提示されたとき、まず押さえておきたいのは、これがシリコンやフッ素のような樹脂の種類を指す言葉ではないという点です。光触媒工業会は光触媒そのものを次のように説明しています。
「光触媒は光があたると触媒作用(化学反応の速度を変えること)を発揮する材料です。」
外壁に使われる光触媒塗料は、酸化チタンを含む膜を表面に作り、紫外線を受けることで2つの作用を発揮します。
「紫外線を当てることにより、「分解力」と「親水性」の作用を発揮します。」
「分解力」は表面についた汚れそのものを分解する働き、「親水性」は表面を水に濡れやすくする働きです。この2つが組み合わさることで、汚れが洗い流されていきます。
「表面が水に濡れやすくなり,雨水がかかると汚れの下に入り込み、浮き上がることによって、汚れが流れ落ちます。」
つまり光触媒塗料自体が汚れを「弾く」わけではなく、①紫外線が汚れを分解し、②親水性によって雨水が汚れの下に回り込み、③汚れが浮き上がって流れ落ちる、という3段階の仕組みです。ここから、効果には紫外線と雨(水)の両方が欠かせないことが分かります。光触媒工業会のQ&Aも「効果が得られない場合の多くは光(紫外線)不足です。」「汚れ防止の多くは親水性を利用しています。光と同時に水がかかる所で使用してください。」と、光と水のどちらが欠けても効果が出にくいことを説明しています。
酸化チタンが紫外線を吸収する仕組みについて、工業会は次のように補足しています。
「酸化チタンは可視光は吸収せず紫外線だけを吸収しますので400nm以下の波長の紫外線が必要です。」
「ただし、表面にあるものだけに作用しますので離れたものを分解・除去することは出来ません。光触媒の効果は、一般に、光の量(紫外線)や光のあたる面積に比例します。」
酸化チタンは白色塗料の顔料や化粧品にも使われている材料で、光触媒塗料に特有の成分というわけではありません。安全性についてこの記事で扱うのはここまでにとどめ、性能の話に進みます。
なお、「光触媒」という技術名でよく知られるTOTOの「ハイドロテクト」は、公式サイトで次のように位置づけられています。
「ハイドロテクトは、光触媒を利用し光や水の力で地球も暮らしもきれいにするTOTOの環境浄化技術であり、技術ブランドです。」
ハイドロテクトは技術ブランドの名称で、後述する光触媒工業会の認証製品一覧に載っているTOTOの外装向け製品は「ハイドロテクト 外装タイル」というタイル製品です。同社は外装でのセルフクリーニング効果を「光の力で、ちり・ホコリの付着を抑え、自動車や工場などの排気ガスや排煙等が原因の油汚れを分解し、雨の力で汚れを洗い流します。」と説明しています。分解の対象として挙げられているのは、排気ガスや排煙が原因の油汚れです。
効く汚れ・効きにくい汚れ、光や水が届かない場所
光触媒塗料は万能に汚れを防ぐわけではありません。ここからは、塗料メーカーのピアレックス・テクノロジーズが公開している「ピュアコート」の資料を例に見ていきます。同社を取り上げるのは、外壁の塗装面に塗る光触媒塗料として光触媒工業会の認証製品一覧に載っており、効果が出にくい条件や注意事項まで公式サイトで公開しているためで、特定の製品を薦める趣旨ではありません。同社の公式FAQは、効きやすい汚れと効きにくい汚れをはっきり書き分けています。
「雨筋汚れに対して特に効果的ですが、無機質の汚れ(エフロ、泥汚れ、もらい錆、黄砂)は分解することができません。また建物の構造上、汚れの負荷が大きい箇所では、汚れが付着することがあります。」
光と水が届かない場所についても、同社は次のように説明しています。
「効果を発揮する上で水と光(太陽光)が必要です。したがって雨がかりが無い部分や光のあたらない部分では効果が十分発揮されません。建物北面でも反射光で十分効果はありますが、隣接する建物との間隔が1m以下だと効果が発揮されにくい傾向があります。ただし表面に静電気を帯びなくなるため、埃がつきにくくなる効果はあります。」
カビ・藻についても、完全には防げないとメーカー自身が明言しています。
「カビや藻は光の当りにくい場所に発生しますが、そういった環境では光触媒は効果を最大限発揮できません。そのためカビや藻の発生を完全に抑えるのは難しいと思われます。これはどのメーカーの光触媒でも同じことです。ただし防汚性によりカビや藻の胞子が付着するのを防ぐため、発生の抑制にはなります。」
同社の「基材別塗装仕様」ページには、効果を十分に発揮しない条件がさらに箇条書きで示されています。
- 「(1)建物の構造上汚れが溜まりやすい箇所」
- 「(2)内部からの水まわりに起因するもの」
- 「(3)黄砂、塵、挨など無機系汚れや小動物の糞など局所的な汚れ」(原文は「挨」表記のままとします)
- 「(4)釘部、金属製の化粧部材から生ずる錆やもらい錆」
- 「(5)シーリング材に起因する汚れ」
さらに「光触媒は表面を親水性にして親油性の汚れに対し効果を発揮します。親水性の汚れには効果はありません。」という注意もあり、油分由来の汚れに効くという仕組み上の限界が、ここでも重ねて説明されています。屋内については「室内では紫外線量が不足していますし、汚れを洗い流す雨(水)がかからないため防汚の効果はありません。」と明記されており、室内での防汚効果は期待できません。
これらの公式資料を、光触媒が効くか効きにくいかで整理し直したのが次の表です。
| 汚れ・場所 | 光触媒の効果 | 出典 |
|---|---|---|
| 排気ガスや排煙等が原因の油汚れ | 分解し、雨で洗い流す | TOTO「ハイドロテクトの効果」 |
| 雨筋汚れ | 「特に効果的」 | ピアレックス「よくあるご質問」 |
| 建物の北面 | 反射光でも効果はある | ピアレックス「よくあるご質問」 |
| ちり・ほこり | 静電気を帯びにくくなり、付きにくくなる | ピアレックス「よくあるご質問」 |
| 無機質の汚れ(エフロ・泥汚れ・もらい錆・黄砂) | 分解することができない | ピアレックス「よくあるご質問」 |
| 親水性の汚れ | 効果はない | ピアレックス「基材別塗装仕様」 |
| 建物の構造上、汚れが溜まりやすい箇所 | 効果を充分に発揮しない | ピアレックス「基材別塗装仕様」 |
| 内部からの水まわりに起因する汚れ | 効果を充分に発揮しない | ピアレックス「基材別塗装仕様」 |
| 小動物の糞など局所的な汚れ | 効果を充分に発揮しない | ピアレックス「基材別塗装仕様」 |
| 釘部・金属製の化粧部材から生ずる錆、もらい錆 | 効果を充分に発揮しない | ピアレックス「基材別塗装仕様」 |
| シーリング材に起因する汚れ | 効果を充分に発揮しない | ピアレックス「基材別塗装仕様」 |
| 雨がかりが無い部分・光の当たらない部分 | 効果が十分発揮されない | ピアレックス「よくあるご質問」/光触媒工業会「Q&A」 |
| 隣接する建物との間隔が1m以下の壁面 | 効果が発揮されにくい傾向 | ピアレックス「よくあるご質問」 |
| 室内 | 防汚の効果はない | ピアレックス「よくあるご質問」 |
| カビ・藻 | 発生を完全に抑えるのは難しい(発生の抑制にはなる) | ピアレックス「よくあるご質問」 |
つまり光触媒塗料は「汚れが付きにくくなる塗料」ではあっても、「あらゆる汚れを防ぐ塗料」ではありません。日が当たり雨もかかる壁面で、排気ガスが原因の油汚れや雨筋を気にしている家には向きやすい一方、泥汚れが付きやすい部分、雨がかからない部分、隣の建物との間隔が1m以下の壁面では、期待どおりの効果が出にくいことを見積もり段階で確認しておく必要があります。北面については、メーカーは反射光でも効果があると説明しています。
性能の物差し「PIAJマーク」と、認証が保証する範囲
光触媒塗料の性能を客観的に見る手がかりが、光触媒工業会(PIAJ)による製品認証「PIAJマーク」です。工業会はこの制度を次のように説明しています。
「PIAJ製品認証とは、光触媒工業会が性能、利用方法等が適切であることを認めた光触媒製品に与える製品認証制度です。」
外壁に関係する認証機能は、主に「セルフクリーニング効果:UV」と「空気浄化効果:UV(窒素酸化物)」の2つです。セルフクリーニング効果は、工業会が物差しとして採用しているJISの試験(ファインセラミックス-光触媒材料のセルフクリーニング試験方法-の第1部・第2部)で判定されます。
| 認証機能 | 試験法 | 性能判定基準 |
|---|---|---|
| セルフクリーニング効果:UV | JIS R 1703-1(水接触角の測定) | 「限界接触角が30°以下」 |
| セルフクリーニング効果:UV | JIS R 1703-2(湿式分解性能) | 「分解活性指数が5nmol/L/min以上」 |
| 空気浄化効果:UV(窒素酸化物) | JIS R 1701-1(窒素酸化物の除去性能) | 「窒素酸化物除去性能が0.50μmol以上」 |
「限界接触角」は、水滴が塗膜の表面となす角度のことで、角度が小さいほど水が広がりやすい=親水性が高いことを意味します。工業会の標準化委員会が公開している説明資料には、紫外線照射前は接触角が75°ある試験体が、紫外線照射後には5°まで下がるという図の一例が示されています(これは試験の考え方を示す例で、特定製品の性能値ではありません)。試験の流れとしては、試験体にオレイン酸(油汚れの代わり)を付けたうえで紫外線を照射し、水の接触角がどこまで下がるかを測定し、下がりきった角度を「限界接触角」として評価します。
ここで見落とせないのが、認証が保証する範囲です。工業会は次のように明記しています。
「なお、PIAJマークは光触媒の発現する性能と安全性を認めた証であり、光触媒以外の性能や安全性を保証するものではありません。」
つまりPIAJマークが保証しているのは、あくまで光触媒としての性能(セルフクリーニングや空気浄化などの効果)と安全性であって、塗膜そのものがどれだけ長持ちするかといった「光触媒以外の性能」は認証の対象外です。このため認証製品であっても、後述する「◯年もつ」という数字は認証とは別の物差し(促進耐候性試験)から出てきます。また工業会は認証取得後についても「効果の持続性及び安全性に関するデータを取得し、開示できる状況を維持しなければならない。」と定めており、性能データの開示自体は認証取得後も続く義務であることが分かります。
認証製品135製品を機能別に数えてみると
工業会は「PIAJマーク登録製品と表示一覧表」で、認証を受けた製品を公開しています。この一覧データ(基準日は一覧ページの表示で2026年9月8日現在)を機能別に集計すると、次のようになりました。
光触媒工業会の認証製品一覧(2026年9月8日現在・135製品、登録企業50社)を機能別に数えると、次のとおりでした(1製品が複数機能を持つ場合があるため合計は重複します)。
| 認証機能 | 製品数 |
|---|---|
| セルフクリーニング効果:UV | 64製品 |
| 抗ウイルス効果(可視光) | 39製品 |
| 空気浄化効果:UV(アセトアルデヒド) | 34製品 |
| 空気浄化効果:UV(窒素酸化物) | 29製品 |
| 抗菌効果:UV | 27製品 |
| 抗菌効果(可視光) | 21製品 |
| 空気浄化効果:UV(ホルムアルデヒド) | 20製品 |
| 空気浄化効果:UV(トルエン) | 15製品 |
| 抗ウイルス効果:UV | 13製品 |
外壁塗装との関係でまず見るべきは「セルフクリーニング効果:UV」の64製品(27社)です。このうち33製品は認証機能がセルフクリーニングだけで、24製品は「空気浄化効果:UV(窒素酸化物)」も併せ持っています。
ここで注意したいのは、この64製品の中身が塗料・コーティング剤だけではないという点です。一覧の製品名を見ると、膜材料(テント素材)・外装タイル・外装材・瓦・ガラスといった製品も含まれています。一覧そのものに製品種別を分類する欄は無いため、「64製品のうち塗料は何製品か」を当サイトが独自に分類することはしません。また、一覧に載っていない製品について「性能が無い」と読むことも適切ではありません。PIAJマークの取得は任意の制度であり、未取得だからといって効果を否定する根拠にはならないためです。
一覧の中で、外壁塗装に関係する製品として名前が確認できるものには、次のような例があります(登録番号は一覧ページの表記に基づきます)。
- ピアレックス・テクノロジーズ「ピュアコート水性」(登録No.2024-0006)・「ピュアコート溶剤」(登録No.2024-0007) — いずれもセルフクリーニング効果:UV
- ケイミュー「光触媒コーティング外装材 光セラ」(登録No.2010-0008) — セルフクリーニング効果:UV/空気浄化効果:UV(窒素酸化物)/抗菌効果:UV/抗ウイルス効果:UV
- TOTO「ハイドロテクト 外装タイル」(登録No.2009-0015) — セルフクリーニング効果:UV
見積もりで提示された製品にPIAJマークの認証があるかどうかは、工業会の一覧ページで製品名を検索すれば確認できます。特定の企業を薦める趣旨ではなく、「認証の有無を自分で確かめられる」という点を押さえておくと、見積書の説明を判断する材料になります。
濃い色・艶のある壁への注意 — 同じメーカーでも書き方が分かれる点
前述のピアレックス・テクノロジーズの「ピュアコート」は、色を付ける塗料ではなく、着色済みの塗装面の上に重ねる透明(クリアー)のコーティングです。同社は製品の位置づけを次のように説明しています。
「下塗不要のクリアー1層コート、短期間に親水性が発現」
モルタル・RC面のような下地では、「弾性塗料で着色し、その上に光触媒をコーティングします。」という2層の仕様になります。仕様によって「材料販売」できるものと、メーカーの「責任施工」が必要なものがあるため、見積もりの段階でどちらの仕様かを確認しておくとよいでしょう。施工方法については「エアスプレーでスピーディーに施工できます。施工当日、足場のあるうちに、親水性のチェックが出来ます。」と説明されています。
ここで、同じメーカーの公式ページの中でも、書き方が分かれている点があります。「よくあるご質問」ページには、次のような特長の記載があります。
「「高耐候性」「伸張性素材・透明基材・濃色表面に適用可能」「常温・焼付どちらにも対応可能」などが主な特長です。」
一方、「基材別塗装仕様」ページの注意事項には、次のようにあります。
「4.濃色下地に使用した場合、白度が上がる恐れがあるため推奨致しません。」 「5.光沢のある下地に使用した場合、光沢が低下するため推奨致しません。」 「6.やむを得ず4及び5に該当する下地に使用する場合は、必ず試験施工を実施し、仕上がりをご確認ください。」
「濃色表面に適用可能」という特長の記載と、濃色下地には推奨しないという注意事項は、一見すると矛盾しているように読めます。ここは当サイトとして「どちらが正しい」と断定はしません。読み方としては、「塗ることができる」ことと「仕上がりが変わらない」ことは別の話だと捉えるのが妥当です。同社の仕様書自身が試験施工での確認を明確に指示している以上、濃い色や艶のある下地に使う場合は、この指示に従って試験施工で仕上がりを確認するのが安全な進め方です。淡色の壁については、同社は「汚れの目立つ淡色の壁には特にお勧めします。」と案内しています。
なお、施工後の手入れについても注意があります。
「8.ピュアコートシリーズは薄膜で耐摩耗性に限界がありますので、洗浄の際に強く拭き取ると塗膜が侵される恐れがあります。」
低汚染塗料との違いについて、同社は自社製品を次のように説明しています。
「一般的な低汚染塗料はコート表面をシリカ技術で親水化(撥水ではなく水の膜を形成する状態)にして雨水で汚れを洗い流します。」
「これに対して「ピュアコート」は親水性だけではなく光触媒による有機物分解機能があり、長年にわたる汚染防止機能と、UVカット機能で下地保護効果があります。」
これはメーカー自身による説明で、「分解機能の有無」という構造上の違いを述べたものです。この記事では、これを根拠に光触媒塗料が低汚染塗料より優れていると評価することはしません。
「15年相当」「20年以上」という数字の読み方
見積もりや製品紹介では「◯年もつ」という耐候性の数字を見かけます。ピアレックス・テクノロジーズの公式資料には、次の2つの記載があります。
「促進耐候性試験サンシャインウェザーメーターにて4000時間をクリアしています。これは15年相当の耐久性です。ただし立地条件等により左右されますので施工後10年程度で点検されることをお勧めします。フッ素塗膜で、単体では20年を超える寿命がありますが、下地の寿命により異なります。」
「促進耐候試験では20年以上の耐候性」
「(メタルウェザー試験1,000時間)。」
同じメーカーの資料でありながら、「15年相当」はサンシャインウェザーメーター4000時間、「20年以上」はメタルウェザー試験1,000時間という、異なる試験・異なる時間数からの換算値です。試験時間を年数に置き換える換算式は、どちらのページにも示されていません。ここで言えるのは、同じメーカーの公表値でも、参照している試験が違えば数字も変わるという事実です。
そのうえで、メーカー自身が「施工後10年程度で点検されることをお勧めします」と案内している点は重要です。「15年相当」「20年以上」という数字は、あくまで促進試験から導かれた耐候性の目安であり、保証年数ではありません。これは光触媒工業会の説明とも整合します。工業会は光触媒そのものの寿命について、次のように述べています。
「酸化チタン光触媒そのものは、安定で変化しないので寿命は半永久的ですが、表面に分解できない物質(無機物や多量の汚れ)が付着して効果がなくなることがあります。」
「また、固定している樹脂の劣化や剥がれによって酸化チタンが無くなり寿命になることがあります。」
つまり酸化チタン自体は変化しなくても、それを塗膜として固定している樹脂が劣化・剥離すれば、光触媒としての効果も失われます。前の章で見たとおり、PIAJマークの認証は「光触媒以外の性能や安全性を保証するものではありません」ので、塗膜そのものの寿命は、認証の対象にもなっていません。年数の数字を見るときは、「何の試験の換算値か」「認証が保証しているのは何か」の2点をセットで確認する必要があります。
なお、紫外線カットについての公表値もあります。
「外壁の色あせの原因となる紫外線を約70%カット。」
この数値はメーカー公表値として1つの参考情報にとどめ、他社製品との比較や一般化はしません。分解活性指数についても、製品ページには「測定方法はJIS R1703-2に準拠しました。」「※光触媒工業会の分解活性指数の認証基準は5以上であり、大きいほど性能が高いことを表します。」という記載があります。認証を受けているかどうかは、前述の工業会の一覧で確認できます。
すでに外壁材が光触媒コーティング仕上げの場合
戸建ての外壁材そのものが、工場塗装の段階で光触媒コーティングされている場合があります。ケイミューの「光セラ」はその一つで、仕組みは次のように説明されています。
「外壁の表面についた汚れを太陽の力で分解し、付着力を弱めます。」
「分解した汚れの下に雨水が入り込んで、強力に洗い流します。」
外壁塗装を検討する際に見落とされがちなのが、すでに光セラ仕上げの外壁材を塗り替える場合の制約です。ケイミューは公式資料で次のように明記しています。
「※光セラ外壁材を塗り替えることによって、再び光セラ仕上げにすることはできません。」
「※光セラ外壁材の塗り替えを行う際は、必ず指定の塗料と塗装仕様が必要となります。」
指定の塗料・仕様を使わない場合は塗膜のはがれなどの不具合につながる可能性があるとされており、塗り替え後はフッ素・アクリルシリコン・ウレタン塗料仕上げなど、一般的な現場塗装仕上げに切り替わります。また再塗装や補修工事については、原則として建物を建設した住宅会社や工務店に相談したうえで、専門業者に依頼するよう案内されています。
つまり、光触媒コーティングされた外壁材は、塗り替えても元の光触媒仕上げには戻らず、指定の仕様を踏まえた専門業者への依頼が前提になります。自宅の外壁材がこうした光触媒コーティング品かどうかは、建てた住宅会社の仕様書や保証書で確認できます。塗装業者に見積もりを依頼する際は、あらかじめ外壁材の商品名を伝えておくと、指定仕様の要否を判断してもらいやすくなります。
光触媒塗料は助成金の対象になっているか
塗装相場ナビでは、外壁塗装に使える自治体の助成金・補助金をデータベースで収録しています。このデータベース(56制度・2026年7月28日〜8月11日に自治体公式ページで確認)を対象に、光触媒塗料を条件にした制度があるかを確認したところ、該当する制度は1件もありませんでした(2026年9月27日確認)。当サイトの相場マスタ(坪数×塗料グレード別の総額レンジ)にも、光触媒というグレードの区分はありません。
同じ機能性塗料でも、遮熱塗料とはで扱っている遮熱(高日射反射率)塗料は、複数の自治体で近赤外の反射率などを基準にした助成制度が設けられています。当サイトのデータベースの範囲では、光触媒塗料にはこうした助成制度が見当たらない、という違いがあります。助成制度は年度によって新設・終了があるため、対象工事の最新情報は各自治体の公式ページで確認してください。
見積もりで確認すること
ここまで見てきたとおり、光触媒塗料は「分解」と「親水性」という仕組み上、効く汚れと効きにくい汚れ・場所がはっきり分かれています。また、PIAJマークの認証が保証するのは光触媒としての性能と安全性までで、塗膜の寿命や下地との相性は別の話です。見積もりを検討する段階では、次の点を確認してください。
- 製品名と、光触媒工業会の一覧での認証の有無。 認証の有無は一覧ページで製品名から確認できます。認証が無いことは即座に性能を否定する材料にはなりませんが、性能データの根拠を業者に確認する材料になります。
- 下地の色と艶。 濃色や光沢のある下地では、仕上がりが変わる可能性があるとメーカー自身が注意しています。該当する場合は試験施工での確認を依頼できるか聞いてください。
- 施工の仕様と保証書。 材料販売で塗装業者が施工する仕様か、メーカーの責任施工になる仕様かを確認し、保証書を誰が発行するのか、対象が塗膜なのか光触媒の効果なのかを書面で確認してください。
- 日当たりと雨がかりの条件。 隣の建物との間隔が1m以下の壁面や、雨がかからない部分があれば、その部位での効果の見込みを業者に確認してください。
- すでに光触媒コーティングされた外壁材かどうか。 該当する場合は指定の塗料・仕様が必要になるため、外壁材の商品名を業者に伝えたうえで見積もりを依頼してください。
これらの条件は、他の塗料グレードとの比較や、実際の見積書の項目とあわせて確認するとより判断しやすくなります。塗料グレードの違いや見積書の読み方もあわせてご確認のうえ、複数社の見積もりを比較することをおすすめします。
よくある質問
光触媒塗料はどんな仕組みで汚れを防ぐのですか?
酸化チタンを含む膜が紫外線を受けて「分解力」と「親水性」の2つの作用を発揮する仕組みです。光触媒工業会は「紫外線を当てることにより、「分解力」と「親水性」の作用を発揮します。」と説明し、親水性については「表面が水に濡れやすくなり,雨水がかかると汚れの下に入り込み、浮き上がることによって、汚れが流れ落ちます。」としています。つまり、汚れを分解する力と、雨で洗い流す力の両方が働く仕組みで、効果が出るには紫外線と水の両方が必要です。
光触媒塗料はどんな汚れにも効きますか? 泥や錆にも効きますか?
効くのは有機物の汚れに限られます。塗料メーカーのピアレックス・テクノロジーズは「雨筋汚れに対して特に効果的ですが、無機質の汚れ(エフロ、泥汚れ、もらい錆、黄砂)は分解することができません。」と公式FAQで説明しています。また光が当たらず雨もかからない場所(隣接建物との間隔が1m以下の壁や室内)では効果が十分に発揮されず、カビや藻の発生も「完全に抑えるのは難しい」とされています。詳しくは本文の判断表をご覧ください。
「光触媒塗料は15年もつ」「20年もつ」と聞きましたが本当ですか?
これらの数字は促進耐候性試験の結果からの換算値で、保証年数ではありません。ピアレックス・テクノロジーズの公式FAQは「促進耐候性試験サンシャインウェザーメーターにて4000時間をクリアしています。これは15年相当の耐久性です。ただし立地条件等により左右されますので施工後10年程度で点検されることをお勧めします。」としています。同社の別ページでは「促進耐候試験では20年以上の耐候性」(メタルウェザー試験1,000時間)という記載もあり、同じメーカーの資料でも試験の種類によって数字が違います。光触媒工業会も、酸化チタン自体は半永久でも「固定している樹脂の劣化や剥がれによって酸化チタンが無くなり寿命になることがあります。」と説明しており、年数は塗膜や下地の寿命と切り離せません。
光触媒塗料に使える助成金・補助金はありますか?
当サイトの助成金データベース(56制度・2026年7月28日〜8月11日に自治体公式ページで確認)には、光触媒塗料を条件にした制度は1件もありませんでした(2026年9月27日確認)。同じ機能性塗料でも遮熱塗料とはで扱っている遮熱(高日射反射率)塗料は複数の自治体で助成対象になっており、状況が異なります。制度は年度で変わるため、最新の対象工事は各自治体の公式ページで確認してください。
出典
- 光触媒工業会「光触媒入門」
- 光触媒工業会「Q&A」
- TOTO「ハイドロテクトについて」
- TOTO「ハイドロテクトの効果」
- 光触媒工業会「認証機能と性能判定基準」
- 光触媒工業会「PIAJ製品認証について」
- 光触媒工業会「PIAJマーク登録製品と表示一覧表」
- 光触媒工業会 標準化委員会「セルフクリーニング性能基準について」説明資料
- ピアレックス・テクノロジーズ「ピュアコート水性」製品ページ
- ピアレックス・テクノロジーズ「よくあるご質問」
- ピアレックス・テクノロジーズ「ピュアコート基材別塗装仕様」
- ピアレックス・テクノロジーズ「ピュアコート」シリーズ紹介
- ケイミュー「住宅外まわりのメンテナンスについて」
- ケイミュー「光セラ」
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