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塗装の基礎

フッ素塗料とは — 公表耐用年数の幅と、費用差の考え方

この記事は、官公庁・法令・メーカー公式情報などの一次情報と出典を確認したうえで、塗装相場ナビ編集部が作成・更新しています。編集方針については運営ポリシーをご覧ください。

この記事のポイント

  • フッ素樹脂はもともと紫外線に強い耐候性を持つとメーカーが説明しており、上位グレードとして位置づけられることが多い
  • 公表されている期待耐用年数はアステックペイントで16〜20年、関西ペイントの製品は12〜15年の区分に位置づけられており、4〜8年の開きがある
  • 30坪の成約平均額はフッ素塗料107.3万円、シリコン塗料83.3万円で、その差は24.0万円(同一集計元のデータ)
  • 耐用年数が長いぶん長期的に得か、という比較は単純な割り算では成り立たない。足場代や下地補修は塗料グレードで変わらないため
  • グレード名は業界共通の規格ではないため、見積書では商品名まで確認する
青空を背景にした白い住宅の切妻屋根(イメージ)

※画像はイメージです(写真素材: Pexels)

この記事の要点

  • フッ素樹脂は「もともと紫外線に強い『耐候性』を持っています」とメーカーが説明しており、上位グレードとして位置づけられることが多い塗料です。
  • 公表されている期待耐用年数は、アステックペイントで16〜20年、関西ペイントの製品は12〜15年の区分。同じフッ素系でも4〜8年の開きがあります。
  • 30坪の成約平均額はフッ素塗料107.3万円、シリコン塗料83.3万円で、その差は24.0万円です(同一の集計元によるデータ)。
  • 「耐用年数が長いぶん長期的に得か」は単純な割り算では判断できません。足場代や下地補修費は塗料グレードでは変わらないためです。

フッ素樹脂が外壁塗料に使われる理由

アステックペイントは自社のフッ素製品について、「フッ素樹脂は、もともと紫外線に強い『耐候性』を持っています」と説明しています。同社の「フッ素REVO1000」は完全交互結合型フッ素樹脂を採用し、劣化しやすい箇所が少ないことで紫外線に強い耐候性を発揮できるとしています。

関西ペイントの「CERA M FUSSO(セラMフッソ)」は、公式カタログのポジショニング図で「ふっ素樹脂塗料(12〜15年)」の区分に位置づけられており、JIS K5658(建築用耐候性上塗り塗料)1級の促進耐候性試験(キセノンランプ照射2,500時間)で、塗膜の割れ・はがれ・ふくれがなく光沢保持率80%以上という規格基準に適合していると説明されています。

塗料グレード全体の中でのフッ素系の位置づけは 塗料グレードの違い — シリコン/ラジカル/フッ素/無機の特徴 で、4グレードを横断して整理しています。

「フッ素系」の公表耐用年数には幅がある

フッ素系塗料の公表耐用年数。アステックペイント フッ素REVO1000は16〜20年、関西ペイント CERA M FUSSOは12〜15年
  • アステックペイント「フッ素REVO1000」: 期待耐用年数 16〜20年。「促進耐候性試験(キセノンランプ式)では、約16〜20年(期待耐用年数)経過後も光沢保持率80%以上を保持」と公表しています。
  • 関西ペイント「CERA M FUSSO」: 公式カタログのポジショニング図で 12〜15年 の区分に位置づけ。

下限どうしで4年、上限どうしで5年、最も離れた組み合わせでは8年の差があります。「フッ素塗料だから◯年」という一律の説明を受けたときは、どの商品の、どの公表値を根拠にしているのかを確かめる価値があります。

なお、これらの年数はいずれも促進耐候性試験という室内試験に基づく期待値・参考値です。実際の年数は建物の立地条件や施工方法で変わるため、メーカー自身も参考値である旨の留保をつけています。

費用の目安と、差額の考え方

30坪の外壁塗装における塗料グレード別の成約平均額。シリコン塗料83.3万円、ラジカル制御型塗料84.5万円、フッ素塗料107.3万円、無機塗料119.3万円

30坪の外壁塗装について、塗料グレード別の成約平均額が公表されています(ヌリカエ公式データ・2025年12月5日更新)。

塗料グレード 30坪の成約平均額 シリコン塗料との差
シリコン塗料 83.3万円 基準
ラジカル制御型塗料 84.5万円 +1.2万円
フッ素塗料 107.3万円 +24.0万円
無機塗料 119.3万円 +36.0万円

いずれも成約データの平均額として公表されている値で、レンジ(幅)の公表はありません。当サイトの 費用相場ページ相場計算機 も、この同じデータを相場マスタとして参照しています。

「年数で割れば得」とは言い切れない理由

差額24.0万円を年数の差で割って比較したくなりますが、この計算は次の理由で成り立ちません。

  1. 足場代・下地補修費は塗料グレードで変わらない。塗り替えのたびに必要になる費用で、塗料代の差だけを年数で割ると、この分が計算から抜け落ちます。足場の役割と費用の位置づけは 足場代の相場と役割 にまとめています。
  2. 公表されている耐用年数は保証値ではない。促進耐候性試験に基づく期待値であり、実際の年数は立地条件で変わります。
  3. 次に塗り替えるかどうかが決まっていないことが多い。住み替え・建て替えの予定があれば、長い耐用年数を使い切らない可能性もあります。

そのため「何年住み続けるつもりか」「次の塗り替えを想定しているか」という前提を先に決めてから、グレードを検討するほうが判断しやすくなります。

フッ素塗料を検討するときの確認点

  1. 商品名を見積書に記載してもらう — 「フッ素」というグレード名だけでは公表値を確認できません。メーカー名と商品名が分かれば、公式ページで自分で確かめられます。
  2. 公表値と試験条件をセットで見る — 試験の種類や照射時間が違えば、年数の意味も変わります。
  3. 艶(つや)の仕様を確認する — アステックペイントは艶消タイプについて「濃色では艶消し剤の影響により、艶有塗料に比べて色味が白っぽく見える場合があります」「艶消の場合、エアレス施工不可」と注意書きを出しています。艶の選び方は 艶あり・艶消しの違い をご覧ください。
  4. 下地の状態とセットで考える — 上塗りのグレードを上げても、下地補修が足りなければ想定どおりに保たない可能性があります。外壁の状態は 外壁の劣化サイン7つ で確認できます。
  5. 複数社の提案を比べる — 同じ予算でも、塗料グレードを上げる提案と下地補修に配分する提案では中身が異なります。比較の観点は 見積書の読み方 にまとめています。

まとめ

フッ素塗料は、フッ素樹脂の耐候性を活かした上位グレードとして位置づけられている製品群です。ただし公表されている期待耐用年数は製品によって12〜15年から16〜20年まで幅があり、「フッ素だから◯年」と一律には言えません。

費用は30坪の成約平均でシリコン塗料より24.0万円高いというデータがあります。この差を「何年で回収できるか」と単純に割り算しても答えは出ません。商品名まで確認し、公表値と試験条件を読み、次の塗り替えまでの想定とあわせて複数社の提案を比べる — これが公開情報だけでできる、いちばん確実な確認の仕方です。

よくある質問

フッ素塗料の耐用年数は何年ですか?

メーカーによって公表値が異なります。アステックペイント「フッ素REVO1000」は期待耐用年数16〜20年、関西ペイント「CERA M FUSSO」は公式カタログのポジショニング図で「ふっ素樹脂塗料(12〜15年)」の区分に位置づけられています。いずれも促進耐候性試験に基づく参考値で、実際の年数は立地条件や施工方法で変わります。

フッ素塗料はシリコン塗料と比べてどのくらい高いですか?

30坪の成約平均額で見ると、フッ素塗料が107.3万円、シリコン塗料が83.3万円で、その差は24.0万円です(同一の集計元によるデータ)。実際の金額は建物の状態や工事範囲で変わるため、目安として 相場計算機 もご利用ください。

耐用年数が長いフッ素塗料のほうが、結局は安く済みますか?

単純な割り算では判断できません。塗り替えのたびに足場の設置費や下地補修費が必要になり、これらは塗料のグレードでは変わらないためです。また公表されている耐用年数は保証値ではありません。次にいつ塗り替えるかの想定とあわせて検討することをおすすめします。

フッ素塗料と無機塗料はどちらが上のグレードですか?

一般には無機系のほうが上位に位置づけられることが多く、公表されている耐用年数も無機系のほうが長い製品があります。ただしグレード名は業界で厳密に標準化された規格ではないため、商品ごとの公表値で比べるのが確実です。無機系の公表値は 無機塗料とは で整理しています。

見積書に「フッ素」とだけ書かれています。確認すべきことはありますか?

メーカー名と商品名まで記載してもらうことをおすすめします。同じフッ素系でも公表されている耐用年数に差があるためです。見積書のどこを見るかは 見積書の読み方 をご覧ください。

出典

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