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外壁塗装の保証は3種類ある — 自社保証・団体保証・瑕疵保険の違い
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この記事のポイント
- 外壁塗装の「保証」には性質の違う3つの土台がある。施工業者自身の自社保証・業界団体の保証制度・リフォーム瑕疵保険
- 一般社団法人日本塗装工業会(会員約2,300社・2015年国土交通大臣登録住宅リフォーム事業者団体)は、会員会社の10万円以上の工事に検査を行い、工事内容により最長5年の塗膜性能保証書を発行する「ペインテナンス」を運営している
- リフォーム瑕疵保険は、施工業者が倒産・廃業しても発注者が保険法人に直接連絡し保険金を請求できる仕組み。保険期間は構造耐力上主要な部分・雨水浸入防止部分が工事完了から5年間、その他の部分が1年間
- この保険を使えるのは、国土交通大臣が指定した保険法人へあらかじめ事業者登録した業者だけ。消費者は登録事業者等検索で確認できる
- 自社保証は業者との契約が前提のため、業者が存在しなくなると請求先を失いやすい。書面の発行元が誰かを契約前に確認しておくことが実務的な備えになる
※画像はイメージです(写真素材: Pexels)
この記事の要点
- 外壁塗装の「保証」には性質の違う3つの土台があります。施工業者自身の自社保証・業界団体の保証制度・リフォーム瑕疵保険です。混同すると、契約前に何を確認すべきかを取り違えます。
- 一般社団法人日本塗装工業会(会員約2,300社・2015年国土交通大臣登録住宅リフォーム事業者団体)は、会員会社の10万円以上の塗装工事に検査を行い、工事内容により最長5年の塗膜性能保証書を発行する「ペインテナンス」という制度を運営しています。
- リフォーム瑕疵保険は、施工業者が倒産・廃業しても発注者が保険法人に直接連絡して保険金を請求できる仕組みです。保険期間は構造耐力上主要な部分・雨水浸入防止部分が工事完了から5年間、その他の部分が1年間です。
- この保険を使えるのは、国土交通大臣が指定した保険法人へあらかじめ事業者登録した業者だけ。消費者は登録事業者等検索で確認できます。
- 自社保証は業者との契約が前提のため、業者が存在しなくなると請求先を失いやすい性質があります。書面の発行元が「誰」なのかを契約前に確認しておくことが、実務的な備えになります。
保証書をもらったら、まずこの5項目を確認する
外壁塗装の契約では、工事後に保証書が発行されるのが一般的です。ただし保証書の書式は発行元によってばらつきがあり、どこを見ればよいか分かりにくいものです。契約前・契約時に確認しておきたいのは、次の5項目です。
- 発行元は誰か — 施工業者自身か、業者が加盟する団体か、保険法人か
- 保証期間 — 何年間か、部位や不具合の種類によって年数が分かれていないか
- 対象部位・対象となる不具合 — 「はがれ」「膨れ」など、どの症状が対象か
- 免責事項 — 経年劣化・立地条件・天災(地震・台風など)による損傷が対象外になっていないか
- 保証の引き継ぎ・移転 — 施工業者が廃業・倒産した場合や、住宅を売却した場合に保証がどうなるか
これらは制度によって答えが変わります。以下、3つの土台それぞれについて、一次資料で確認できる範囲を整理します。
「保証」には3つの土台がある
外壁塗装の「保証」と呼ばれるものは、実は発行元がまったく違う3種類に分かれます。
- 自社保証 — 施工した業者自身が発行する保証書。工事契約に付随するもので、書式・年数・対象範囲は業者が独自に定めます。
- 団体保証 — 業者が加盟する業界団体が運営する保証制度。会員業者の工事に対して団体が検査・保証書発行に関与します。
- リフォーム瑕疵保険 — 国土交通大臣が指定した住宅専門の保険法人が引き受ける保険。業者が保険法人へ事前に登録し、工事ごとに加入手続きを行います。
見た目はどれも「保証」という言葉でひとくくりにされがちですが、何かあったときに誰に連絡するのかがまったく異なります。順番に見ていきます。
施工業者の自社保証 — 何を確認すればいいか
もっとも一般的なのが、施工した業者自身が発行する保証書です。工事請負契約に付随する形で交わされ、保証年数・対象部位・免責事項は業者ごとに独自に設定されます。全国一律の基準があるわけではないため、保証書に書かれている内容がすべてという前提で読む必要があります。
自社保証の性質上、保証を行う主体は「その業者が事業を続けていること」が前提になります。業者が廃業・倒産した場合、保証書自体は残っていても、請求先である業者が存在しないため、実務上は請求が難しくなりやすいという契約の一般的な性質があります。これは特定の統計に基づく数値ではなく、保証書が業者との私的な契約書面であることから生じる構造的な限界です。
だからこそ、次に挙げる団体保証・瑕疵保険のように、業者以外の第三者が関わる保証があるかどうかが、契約前に確認する価値のあるポイントになります。
業界団体の保証制度 — 日本塗装工業会「ペインテナンス」を例に
業界団体が運営する保証制度の例として、一般社団法人日本塗装工業会の「ペインテナンス」があります。
日本塗装工業会は、建設塗装工事業者約2,300社で構成される全国団体で、**昭和23年(1948年)**に設立され、2015年には国土交通大臣登録住宅リフォーム事業者団体となっています。
「ペインテナンス」は、会員会社が施工した10万円以上の塗装工事に対して検査を行い、工事終了後、工事内容により最長5年までの塗膜性能保証書を発行する制度です。会員業者の工事であることと、検査を受けることが、保証書発行の条件になっています。
一方で、会員業者が廃業した場合に保証がどうなるかについては、同会の公式サイト上で明確な記述を確認できませんでした(2026-09-09時点)。自社保証と違い団体が関与する分、何らかの引き継ぎの仕組みがあってもおかしくはありませんが、公表資料から断定できる情報ではないため、この記事では「発行元が業者ではなく団体である」という事実のみを扱います。実際に団体保証をうたう業者と契約する場合は、廃業時の扱いを見積もり段階で個別に確認することをおすすめします。
リフォーム瑕疵保険 — 業者が倒産しても保険法人に直接請求できる仕組み
3つ目が、住宅専門の保険会社(住宅瑕疵担保責任保険法人)が引き受ける「リフォーム瑕疵保険」です。国土交通大臣が指定した保険法人を、一般社団法人住宅瑕疵担保責任保険協会が取りまとめています。
この保険の最大の特徴は、施工業者が倒産・廃業しても、発注者(消費者)が保険法人に直接連絡して保険金を請求できる点です。同協会は次のように案内しています。
「リフォーム事業者が廃業や倒産等により相当の期間を経過しても補修等の責任を履行できないと判明したときは、保険付保証明書に記載の保険法人までご連絡ください」
自社保証にはない、この「業者を介さず請求できる」仕組みが、瑕疵保険と自社保証・団体保証との最大の違いです。ただし免責金額(自己負担額)は発注者負担となる点は押さえておく必要があります。
制度の詳細は次のとおりです。
- 対象工事: 屋根・壁など既存住宅の一部、またはキッチン・浴槽などの設備にかかる改修工事。解体工事・撤去清掃作業・門や塀等の外構工事は対象外
- 保険金の支払い対象: 欠陥があった部分および、そこから波及して損害を受けた住宅の部分。補修費用のほか、調査費用・仮住まい費用も対象になり得る
- 保険期間: 構造耐力上主要な部分・雨水浸入防止部分は工事完了から5年間、その他の部分は工事完了から1年間
- 検査: 第三者検査員(建築士)による現場検査を実施
国土交通省も同様に、「工事に欠陥が見つかった場合に、補修費用等の保険金が事業者(事業者が倒産等の場合は発注者)に支払われ、無償で直すことができる」と説明しており、施工中・完了後の第三者検査員(建築士)による現場検査についても言及しています。
使えるのは登録事業者の工事だけ
注意したいのは、この保険はすべての業者の工事に自動で付いているわけではないという点です。一般社団法人住宅瑕疵担保責任保険協会は「国土交通省認可の保険法人にあらかじめ登録したリフォーム事業者しか『かし保険』は使えません」と明記しています。
つまり、契約前に確認すべきは「瑕疵保険という制度があるかどうか」ではなく、**「その業者が登録事業者かどうか」**です。同協会は個人向けに「かし保険を利用する登録事業者等の検索」を公開しており、依頼予定の業者名で検索して確認できます。
3つを並べて比べると何が違うか
ここまでの内容を図で整理すると、次のようになります。
文章でも整理すると、次のとおりです。
| 項目 | 自社保証 | 団体保証(ペインテナンス) | リフォーム瑕疵保険 |
|---|---|---|---|
| 保証する主体 | 施工業者自身 | 業者が加盟する業界団体 | 国交省指定の保険法人 |
| 発行される書面 | 業者独自の保証書 | 団体の塗膜性能保証書(最長5年) | 保険法人発行の保険証券(5年/1年) |
| 業者が廃業・倒産したら | 請求先を失いやすい(契約の性質上) | 公式サイトに明記なし(2026-09-09時点) | 発注者が保険法人に直接請求できる |
| 対象になる工事・条件 | 業者との契約次第 | 会員業者の10万円以上の工事+検査 | 登録事業者の工事のみ、検査あり |
唯一「業者が消えたあとの請求先」が一次資料で明確になっているのは、リフォーム瑕疵保険です。 これは瑕疵保険が絶対的に優れているという意味ではなく、自社保証・団体保証は業者や団体の説明を個別に確認しないと同じ水準の裏付けが取れない、ということでもあります。金額が大きな工事で保証の実効性を重視するなら、契約前に「その業者は登録事業者か」を確認する価値があります。
契約前にできること
保証は工事が終わったあとの備えですが、実際に保証が役立つかどうかは契約前の確認で決まる部分が大きくなります。
- 保証書の発行元を確認する — 業者・団体・保険法人のどれか、契約前に見積もりと一緒に確認する
- 登録事業者かどうかを確認する — リフォーム瑕疵保険を使いたい場合は、登録事業者等検索で事前に確認する
- 見積書の内容も合わせて確認する — 保証と工事範囲の認識違いを防ぐため。詳しくは見積書の読み方で解説しています
- 契約段階のトラブル傾向も知っておく — 公的な相談統計では、リフォーム相談は契約トラブルの比率が高いという傾向が示されています。詳しくは外壁塗装のトラブルは何が多いのかで紹介しています
- 訪問販売等で契約した場合の解除手段を知っておく — 書面を受け取った日から一定期間はクーリング・オフができる場合があります。詳しくは外壁塗装のクーリングオフをご覧ください
複数社から見積もりを取る際は、金額だけでなく保証の発行元と対象範囲も並べて比べることをおすすめします。同じ「10年保証」という言葉でも、発行元が業者なのか団体なのか保険なのかで、業者が事業を続けられなくなったときの結果が変わります。
まとめ
外壁塗装の「保証」は、施工業者自身の自社保証・業界団体の保証制度・リフォーム瑕疵保険という、性質の異なる3つの土台でできています。自社保証は業者との契約が前提のため業者の存続に依存し、団体保証は団体の関与がある一方で倒産時の扱いが公表資料からは確認できず、瑕疵保険だけが「発注者が保険法人に直接請求できる」という仕組みを一次資料で確認できました。
契約前に確認すべきは、保証年数の長さだけではありません。保証書の発行元が誰で、業者が事業を続けられなくなったときにどうなるかです。この視点を持って複数社の見積もりと保証条件を比べることが、工事後に困らないための実務的な備えになります。
よくある質問
外壁塗装の保証は何年ですか?
保証の主体によって仕組みが異なるため、一律の年数はありません。業界団体の保証制度である日本塗装工業会の「ペインテナンス」は、会員会社の10万円以上の工事に検査を行い、工事内容により最長5年の塗膜性能保証書を発行します。一方、リフォーム瑕疵保険は構造耐力上主要な部分・雨水浸入防止部分が工事完了から5年間、その他の部分が1年間です。施工業者独自の自社保証は年数も書式も業者ごとに違うため、保証書そのものを見て確認する必要があります。
保証書があれば安心ですか?
保証書の発行元が誰かによって実効性が変わります。施工業者自身が発行する自社保証は、業者との契約が前提になるため、業者が廃業・倒産すると請求先を失いやすい性質があります。業界団体の保証制度やリフォーム瑕疵保険は、業者以外の第三者が関わる分、契約前に発行元・対象範囲・免責事項を書面で確認しておくことが実務的な備えになります。
施工業者が倒産したら保証はどうなりますか?
リフォーム瑕疵保険に加入している工事であれば、発注者が保険法人に直接連絡し、保険金を請求できます。一般社団法人住宅瑕疵担保責任保険協会は「リフォーム事業者が廃業や倒産等により相当の期間を経過しても補修等の責任を履行できないと判明したときは、保険付保証明書に記載の保険法人までご連絡ください」と案内しています(ただし免責金額は発注者負担)。自社保証や、業者が加盟する団体の保証制度がその後どうなるかは制度ごとに異なるため、契約前に確認しておくことをおすすめします。
リフォーム瑕疵保険はどの業者でも使えますか?
使えません。国土交通大臣が指定した保険法人へあらかじめ事業者登録した業者の工事だけが対象です。一般社団法人住宅瑕疵担保責任保険協会は「国土交通省認可の保険法人にあらかじめ登録したリフォーム事業者しか『かし保険』は使えません」と説明しており、消費者は同協会の登録事業者等検索で、依頼予定の業者が登録事業者かどうかを事前に確認できます。
保証書のほかに契約前に確認すべきことはありますか?
工事範囲・使用する塗料・支払い条件などを記載した見積書の内容確認も重要です。見積書の読み方もあわせてご確認ください。契約に関する一般的なトラブル傾向は外壁塗装のトラブルは何が多いのかで、訪問販売等で契約した場合の解除手段は外壁塗装のクーリングオフで解説しています。
出典
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