塗装の基礎
シリコン塗料とは — 標準グレードと呼ばれる理由と、ラジカル制御形との関係
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この記事のポイント
- シリコン塗料の公表期待耐用年数は、SK化研のエスケープレミアムシリコンで14〜16年、アステックペイントのシリコンREVO1000で13〜16年
- SK化研の艶有りタイプはJIS A6909(建築用仕上塗材)の耐候形1種を取得している
- 日本ペイントは2025年3月、パーフェクトトップのグレード表記を「ラジカル制御形シリコン系ハイブリッド高耐候性塗料」へ変更した(性能・仕様の変更はないと説明)
- つまりグレード名は業界共通の規格ではなく、シリコン系とラジカル制御形の境界は固定されていない
- 30坪の成約平均額はシリコン塗料83.3万円、ラジカル制御型塗料84.5万円で、その差は1.2万円
※画像はイメージです(写真素材: Pexels)
この記事の要点
- シリコン塗料の公表期待耐用年数は、SK化研「エスケープレミアムシリコン」で14〜16年、アステックペイント「シリコンREVO1000」で13〜16年です。
- SK化研の艶有りタイプは JIS A6909(建築用仕上塗材)の耐候形1種を取得しています。
- 日本ペイントは2025年3月、パーフェクトトップのグレード表記を「ラジカル制御形シリコン系ハイブリッド高耐候性塗料」へ変更しました(性能・仕様の変更はないと説明)。
- グレード名は業界共通の規格ではなく、シリコン系とラジカル制御形の境界は固定されていません。
- 30坪の成約平均額はシリコン塗料83.3万円、ラジカル制御型塗料84.5万円で、その差は1.2万円です。
シリコン塗料が「標準」と呼ばれる位置づけ
外壁塗装で使われる塗料は、主成分となる樹脂の種類によってグレードとして分類されます。シリコン系は、価格と耐候性のバランスから標準的なグレードとして扱われることが多く、当サイトが参照している相場マスタでも、坪数別の相場(工事全体の目安)はシリコン塗料を基準に整理されています。
グレード全体の中での位置づけは 塗料グレードの違い — シリコン/ラジカル/フッ素/無機の特徴 で横断的に整理しています。ここでは、シリコン系の製品が公式にどう説明されているかを詳しく見ていきます。
メーカーが公表している内容
SK化研「エスケープレミアムシリコン」
- 期待耐用年数 14〜16年
- 樹脂は「超耐候形特殊ハイブリッドシリコン樹脂」。「架橋による緻密かつ強靭な塗膜は、超耐久性、超耐候性を示すとともに耐水性、耐アルカリ性、耐薬品性に優れています」と説明されています。
- 「エスケープレミアムシリコン(艶有り)はJIS A6909建築用仕上塗材耐候形1種を取得しております」
- 促進耐候性試験(キセノンランプ法)を実施
- 留保: 「期待耐用年数は、次の塗り替え時期の目安です。地域、立地条件、方角等により異なりますので、参考値としてお考えください」
アステックペイント「シリコンREVO1000」
- 期待耐用年数 13〜16年
- シリコン成分(シロキサン結合)が一般的なアクリルシリコン塗料比で約3倍含まれており、「三重構造のアクリルシリコン樹脂」により低汚染性を実現していると説明されています。
- 「ラジカル制御型白色顔料」を採用
- 「促進耐候性試験(キセノンランプ式)では、約13〜16年(期待耐用年数)経過後も光沢保持率80%以上を保持」
- 注意書き: 「艶消の場合、濃色では艶消し剤の影響により、艶有塗料に比べて色味が白っぽく見える場合があります」「艶消の場合、エアレス施工不可」
2社の公表値は14〜16年と13〜16年で近い範囲ですが、完全に一致しているわけではありません。また、アステックペイントの製品は「シリコン」という名前でありながらラジカル制御型の白色顔料を採用していると明記されている点も、次の節につながる重要なポイントです。
「シリコン」と「ラジカル制御形」の境界は動いている
日本ペイントは2025年3月24日、主力製品「パーフェクトトップ」のグレード表記を「ラジカル制御形ハイブリッド高耐候性塗料」から「ラジカル制御形シリコン系ハイブリッド高耐候性塗料」に変更したことを公表しました。同社は性能・仕様に変更はないとしています。
同社の「パーフェクトトップSi」は、公式ページで「1液水性ラジカル制御形シリコン系ハイブリッド高耐候性塗料」と表記され、「耐候形1種に相当」「シリコングレードを超える非常にすぐれた耐久性」と説明されています(具体的な年数の表記はありません)。
ここから読み取れるのは、グレード名は業界で厳密に標準化された規格ではないということです。同じ製品でも呼び名が変わることがあり、「シリコン」と名の付く製品にラジカル制御の技術が入っていることもあります。
つまり、見積書に書かれたグレード名だけを見て「上か下か」を判断するのは実態に合いません。判断の材料になるのは、メーカー名と商品名、そして公式に公表されている数値と規格です。
費用の目安
30坪の外壁塗装について、塗料グレード別の成約平均額が公表されています(ヌリカエ公式データ・2025年12月5日更新)。
| 塗料グレード | 30坪の成約平均額 |
|---|---|
| シリコン塗料 | 83.3万円 |
| ラジカル制御型塗料 | 84.5万円 |
| フッ素塗料 | 107.3万円 |
| 無機塗料 | 119.3万円 |
シリコン塗料とラジカル制御型塗料の差は1.2万円にとどまります。一方、フッ素塗料との差は24.0万円、無機塗料との差は36.0万円です。上位グレードとの価格差に比べると、シリコンとラジカル制御型の差は小さいことが分かります。
なお、坪数別の相場(工事全体の目安)では、30坪〜39坪のシリコン塗料で 80万〜135万円 というレンジが当サイトの相場マスタに登録されています。同じ坪数でも幅があるのは、外壁の状態や工事範囲によって金額が変わるためです。建物の条件を入れた目安は 相場計算機 で確認できます。
上位グレードの公表値は フッ素塗料とは と 無機塗料とは でそれぞれ整理しています。
シリコン塗料を検討するときの確認点
- 商品名を見積書に記載してもらう — グレード名だけでは公表値を確認できません。
- 艶の仕様を先に決める — 艶消しは色の見え方や施工方法に制約が出る場合があるとメーカーが注意書きを出しています。艶の選び方は 艶あり・艶消しの違い をご覧ください。
- JIS規格の取得状況を確認する — 取得の有無は製品ごとに異なります。
- 上位グレードとの差額を具体的に比べる — シリコンとラジカル制御型の差は成約平均で1.2万円です。提案を受けたら、差額と根拠を確認しましょう。
- 下地の状態とセットで考える — 上塗りのグレードより下地補修が効くケースもあります。外壁の状態は 外壁の劣化サイン7つ で確認できます。
まとめ
シリコン塗料は、メーカー公式で期待耐用年数13〜16年・14〜16年と公表されている、外壁塗装の標準的なグレードです。JIS A6909の耐候形1種を取得している製品もあります。
一方で、2025年3月の日本ペイントの表記変更が示すとおり、グレード名は業界共通の規格ではなく、シリコン系とラジカル制御形の境界は動きます。グレード名だけで判断せず、商品名と公式の公表値まで確認する。これがいちばん確実な向き合い方です。
よくある質問
シリコン塗料の耐用年数は何年ですか?
SK化研「エスケープレミアムシリコン」は期待耐用年数14〜16年、アステックペイント「シリコンREVO1000」は13〜16年と公表しています。いずれも促進耐候性試験に基づく参考値で、SK化研は「地域、立地条件、方角等により異なりますので、参考値としてお考えください」と留保をつけています。
シリコン塗料とラジカル制御形塗料は何が違いますか?
ラジカル制御形は塗膜の劣化反応を抑える技術を使った塗料ですが、両者の境界は固定されていません。日本ペイントは2025年3月、パーフェクトトップのグレード表記を「ラジカル制御形シリコン系ハイブリッド高耐候性塗料」へ変更しており(性能・仕様の変更はないと説明)、グレード名が業界共通の規格ではないことが分かります。
シリコン塗料はデメリットがありますか?
公表されている期待耐用年数は13〜16年で、フッ素系や無機系の上位グレードより短い製品が多いという点があります。一方で費用は抑えられ、30坪の成約平均額ではフッ素塗料より24.0万円低いというデータがあります。どちらが適するかは予算と次の塗り替えまでの想定期間で変わります。
JIS A6909の耐候形1種とはどういう意味ですか?
建築用仕上塗材について定めたJIS規格で、耐候性の等級区分のひとつです。SK化研は「エスケープレミアムシリコン(艶有り)はJIS A6909建築用仕上塗材耐候形1種を取得しております」と公表しています。取得の有無は製品ごとに異なるため、公式の製品情報で確認することをおすすめします。
見積書に「シリコン塗料」とだけ書かれています。どう確認すればよいですか?
メーカー名と商品名まで記載してもらうと、公式ページで期待耐用年数や規格の取得状況を自分で確認できます。見積書のどこを見るかは 見積書の読み方 をご覧ください。
出典
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