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ラジカル塗料とは — 3社4製品の表記を並べて分かる「シリコンとの違い」の実態

この記事は、官公庁・法令・メーカー公式情報などの一次情報と出典を確認したうえで、塗装相場ナビ編集部が作成・更新しています。編集方針については運営ポリシーをご覧ください。

この記事のポイント

  • 「ラジカル制御」は樹脂の種類の名前ではなく、塗膜の劣化を抑える技術の名前で、シリコン系(SK化研・アステックペイント)にも無機系(SK化研)にも採用されている
  • アステックペイント「シリコンREVO1000」は商品名に「シリコン」と入っているが、公式に「ラジカル制御型白色顔料」の採用を明記している
  • 期待耐用年数を公表しているのはSK化研「エスケープレミアムシリコン」14〜16年とアステックペイント「シリコンREVO1000」13〜16年で、日本ペイントは製品ページで年数を公表していない
  • 日本ペイントは2025年3月、「パーフェクトトップ」の一般名称に「シリコン系」を追加した(性能・仕様の変更はないと説明)。グレードの呼び方はメーカーの判断で変わることがある
  • 30坪の費用はヌリカエが2025年5月に実施したデスクリサーチにもとづく見積もりのモデルケースで、シリコン塗料との差は1.2万円にとどまる
缶から注がれる白い塗料(イメージ)

※画像はイメージです(写真素材: Pexels)

この記事の要点

  • 「ラジカル制御」は樹脂の種類ではなく、塗膜の劣化を抑える技術の名前です。シリコン系(SK化研・アステックペイント)にも無機系(SK化研)にも採用されています。
  • アステックペイント「シリコンREVO1000」は商品名に「シリコン」と入っていますが、公式に「ラジカル制御型白色顔料」の採用を明記しています。
  • 期待耐用年数を公表しているのは、SK化研「エスケープレミアムシリコン」14〜16年とアステックペイント「シリコンREVO1000」13〜16年です。日本ペイントは製品ページで年数を公表していません。
  • 日本ペイントは2025年3月、「パーフェクトトップ」の一般名称に「シリコン系」を追加しました(性能・仕様の変更はないと説明)。グレードの呼び方はメーカーの判断で変わることがあります。
  • 30坪の費用は、ヌリカエが2025年5月に実施したデスクリサーチにもとづく見積もりのモデルケースで、シリコン塗料との差は1.2万円にとどまります。

「ラジカル」とは何か — 顔料が起こす劣化反応の名前

見積書に「ラジカル塗料」「ラジカル制御型塗料」と書かれていると、シリコンやフッ素と並ぶ独立した樹脂グレードのように見えます。しかし各社の製品ページを確認すると、「ラジカル」は樹脂そのものの名前ではなく、塗膜の劣化反応、あるいはそれを抑える技術を指す言葉だと分かります。

SK化研は「ラジカル」をこう定義しています。

「ラジカルとは、塗膜に酸素、水の存在下で紫外線が当たることにより、塗膜中の無機顔料と接触することで発生する反応性の高い物質です。ラジカルが劣化因子となり、樹脂などの有機物を分解することで塗膜は劣化していきます。」(エスケー化研「エスケープレミアム無機」製品ページ)

アステックペイントも同様の説明をしています。

「従来の塗料で使用される白色顔料の主成分「酸化チタン」は、紫外線の影響を受けると劣化因子「ラジカル」を発生させ、塗膜が劣化してしまいます。」(アステックペイント「シリコンREVO1000」製品ページ)

つまり「ラジカル」は、紫外線・酸素・水と顔料(無機酸化物・酸化チタン)が反応してできる劣化因子そのものの名前で、これを抑える技術を持つ塗料が「ラジカル制御形」「ラジカル制御型」と呼ばれています。

ラジカルが塗膜を傷めるしくみの図。紫外線・酸素・水が白色の顔料(酸化チタン・無機酸化物)に当たるとラジカルが発生し、樹脂が分解される。対策は「出にくくする・閉じ込める」(ラジカル制御型白色顔料・シールド層・ダブルシールド)と「出てしまったものを捕まえる」(ラジカルキャッチャー)の2つ

原因は「顔料」、対策は「閉じ込める」と「捕まえる」

各社の説明を並べると、原因の見立ては共通していて、対策の説明の仕方に違いがあります。

原因: 白色の顔料が紫外線でラジカルを出す

SK化研は原因を「無機酸化物」、アステックペイントは「酸化チタン」と書いています。

「その劣化因子を発生、増加させる原因の一つが顔料として一般的に使用される無機酸化物です。」(エスケー化研「エスケープレミアムシリコン」製品ページ)

対策(アステックペイント): 顔料そのものを変え、シールド層で閉じ込める

「シリコンREVO1000はラジカルの発生を抑制する「ラジカル制御型白色顔料」を採用。」 「ラジカルが発生しにくく、またラジカルが発生した場合にも、シールド層がラジカルの放出を防ぐため、劣化を抑制します。」(アステックペイント「シリコンREVO1000」製品ページ)

対策(SK化研): シールドで抑え、漏れたぶんを捕まえる

「エスケープレミアムシリコンに導入している「ラジカルコントロール技術」は、塗膜内に発生するラジカルを独自のダブルシールドで抑えるとともに、わずかに発生したラジカルもラジカルキャッチャーが捕捉します。」(エスケー化研「エスケープレミアムシリコン」製品ページ)

SK化研は無機塗料「エスケープレミアム無機」でも、同じ言葉で説明しています。

「塗膜内に発生するラジカルを独自の高緻密無機シールド層と高緻密有機シールド層のダブルシールドで抑えます。わずかに発生したラジカルもラジカルキャッチャーが捕捉します。」(エスケー化研「エスケープレミアム無機」製品ページ)

整理すると、「ラジカルを出にくくする・閉じ込める(シールド)」と「出てしまったものを捕まえる(SK化研のラジカルキャッチャー)」の組み合わせが「ラジカル制御」の中身です。これは樹脂を何にするかとは別の工夫なので、シリコン系の製品にも無機系の製品にも同じ説明が出てきます。「ラジカル」を樹脂グレードの一段として扱うと実態とずれるのは、このためです。

3社4製品の表記を並べる

上記のとおり「ラジカル制御」の技術は特定の樹脂系統に限定されていません。実際に主要3社4製品の公式表記を並べると、樹脂系統をまたいで採用されていることが確認できます。

3社4製品の公式表記の対応表。日本ペイント パーフェクトトップSiはシリコン系で一般名称に「ラジカル制御形」、エスケー化研 エスケープレミアムシリコンはシリコン樹脂系で特長に「ラジカル制御」(期待耐用年数14〜16年)、エスケー化研 エスケープレミアム無機は無機系で特長に「ラジカル制御」、アステックペイント シリコンREVO1000はシリコンで「ラジカル制御型白色顔料」を採用(期待耐用年数13〜16年)
メーカー 商品名 公式の一般名称・表記 樹脂系統 ラジカル制御の記載 期待耐用年数(公表)
日本ペイント パーフェクトトップSi 1液水性ラジカル制御形シリコン系ハイブリッド高耐候性塗料 シリコン系ハイブリッド 樹脂欄の表記が「ラジカル制御形」 製品ページに記載なし
エスケー化研(SK化研) エスケープレミアムシリコン 超耐候形水性ハイブリッドシリコン樹脂塗料 ハイブリッドシリコン樹脂 特長アイコンに「シリコン樹脂系」と並んで「ラジカル制御」 14〜16年
エスケー化研(SK化研) エスケープレミアム無機 超低汚染ハイブリッド水性無機塗料 無機系 特長アイコンに「ラジカル制御」 製品ページの本文に記載なし
アステックペイント シリコンREVO1000 「次世代型ハイクラスシリコン塗料」(同社のキャッチコピー) シリコン(同社は、シリコン成分が一般的なアクリルシリコン塗料の約3倍と説明) 「ラジカル制御型白色顔料」を採用 13〜16年

この表から読み取れることは2つあります。

  1. 「ラジカル制御」はシリコン系にも無機系にも載っている。 SK化研は自社のシリコン製品と無機製品の両方に同じ「ラジカルコントロール技術」を使っており、樹脂の種類とラジカル制御の有無は別の軸です。
  2. 商品名が「シリコン」でも、公式にラジカル制御を明記している製品がある。 アステックペイント「シリコンREVO1000」がその例です。見積書のグレード欄が「シリコン」だからといって、ラジカル制御の技術が入っていないとは限りません。

日本ペイントは2025年3月にグレード表記を変更した

日本ペイントは2025年3月24日、「パーフェクトトップ」の製品名称を「パーフェクトトップSi」に、一般名称を「1液水性ラジカル制御形ハイブリッド高耐候性塗料」から「1液水性ラジカル制御形シリコン系ハイブリッド高耐候性塗料」に変更したと公表しました。同社は「※名称変更による塗膜性能や仕様の変更はございません。」と説明しており、変更の目的についても次のように述べています。

「販売店・施工店様が当社製品をお施主様に推進しやすく、また、お施主様にも当社製品を選んでいただきやすくすることを目的としています。」(日本ペイント ニュースリリース、2025年3月24日)

つまり性能は変わらないまま、呼び方だけが「ラジカル制御形」から「ラジカル制御形シリコン系」へ変わったということです。グレードの呼び方はメーカーの判断で見直されることがあるという事実は、上の4製品の表と合わせて見ると理解しやすくなります。この名称変更の経緯と、シリコン塗料側から見た詳しい整理はシリコン塗料とは — 標準グレードと呼ばれる理由と、ラジカル制御形との関係で扱っています。

期待耐用年数は「公表している製品」と「していない製品」がある

3社4製品を見ると、期待耐用年数の公表状況もそれぞれ異なります。

  • SK化研「エスケープレミアムシリコン」: 期待耐用年数 14〜16年。同社は「期待耐用年数は、次の塗り替え時期の目安です。地域、立地条件、方角等により異なりますので、参考値としてお考えください。」と留保を付けています。また「エスケープレミアムシリコン(艶有り)はJIS A6909建築用仕上塗材耐候形1種を取得しております。」とも公表しています。
  • アステックペイント「シリコンREVO1000」: 期待耐用年数 13〜16年。「促進耐候性試験(キセノンランプ式)では、約13〜16年(期待耐用年数)経過後も光沢保持率80%以上を保持。」と、試験方法つきで公表しています。
  • 日本ペイント「パーフェクトトップSi」: 製品ページに年数の記載はありません。「シリコングレードを超える非常にすぐれた耐久性があります」という説明はありますが、具体的な年数は公表されていません。
  • SK化研「エスケープレミアム無機」: 製品ページのテキスト中に年数の記載はありません。

ここで注意したいのは、どちらの数字も実際の建物での年数を約束するものではないという点です。アステックペイントの13〜16年は促進耐候性試験(キセノンランプ式)の結果として示された数字で、SK化研は自ら「参考値としてお考えください」と書いています。実際の建物では方角・地域・立地条件によって劣化の進み方が変わるため、公表値がそのまま自宅の塗り替え周期になるわけではありません。

また、この2製品の年数が近い範囲にあるからといって、「ラジカル塗料は13〜16年」のように一般化することはできません。同じ「ラジカル制御」の技術を採用していても、日本ペイントのように年数を公表していないメーカーもあるためです。年数は製品ごとに確認する必要があります。

デメリット・注意点として言えること

出典から確認できる範囲で、ラジカル塗料(ラジカル制御型塗料)を検討するときに知っておきたい点は次の3つです。

  1. 3社の公式ページに「ラジカル塗料」の共通の定義は示されていない。 「ラジカル制御」(日本ペイント)、「ラジカルコントロール技術」(SK化研)、「ラジカル制御型白色顔料」(アステックペイント)と技術の呼び方も各社で違い、上の表のとおり樹脂系統も一般名称も揃っていません。
  2. 公表されている期待耐用年数は参考値。 SK化研は「地域、立地条件、方角等により異なりますので、参考値としてお考えください。」と明記し、アステックペイントの年数は促進耐候性試験(キセノンランプ式)の結果として示されています。どちらも実際の建物での年数を保証するものではありません。
  3. 年数を公表していないメーカーもある。 日本ペイント「パーフェクトトップSi」は製品ページで期待耐用年数を公表していません。「公表していない=性能が劣る」という意味ではありませんが、他製品と数値で比較したい場合は確認のしようがない点になります。

見積書に「ラジカル」と書かれていたら

ここまでの内容を踏まえると、見積書のグレード欄に「ラジカル」「ラジカル制御型」とだけ書かれている場合、それだけで上か下かを判断するのは難しいことが分かります。判断材料になるのは次の2点です。

  1. メーカー名と商品名を確認する。 商品名が分かれば、メーカー公式ページでその製品の期待耐用年数・規格の取得状況・技術の説明を自分で確認できます。「ラジカル」とだけ書かれている場合は、施工店に商品名の記載を依頼しましょう。
  2. グレード名の上下関係だけで比較しない。 上の表のとおり、「シリコン」と名の付く製品にラジカル制御の技術が入っていることもあれば、無機系にも同じ技術が使われていることもあります。比較の単位は「グレード名」ではなく「メーカー名+商品名」です。

見積書の他の項目もあわせて確認したい場合は、見積書の読み方 — 項目別に見るべきポイントを参照してください。

費用の目安

30坪の外壁塗装について、ヌリカエが2025年5月に実施したデスクリサーチにもとづく見積もりのモデルケースが公表されています。

塗料グレード 30坪の見積もりモデルケース
シリコン塗料 83.3万円
ラジカル制御型塗料 84.5万円
フッ素塗料 107.3万円
無機塗料 119.3万円

このモデルケースでは、シリコン塗料とラジカル制御型塗料の差は1.2万円です。一方、フッ素塗料との差は22.8万円、無機塗料との差は34.8万円あります。上位グレードとの差に比べると、シリコンとラジカル制御型の差は小さいことが分かります。

なお、この4つの金額は成約実績の平均ではなく、あくまでデスクリサーチにもとづく見積もりのモデルケースです。実際の金額は建物の状態や施工店によって変わります。坪数や建物の条件を入れた目安を確認したい場合は相場計算機、費用の全体像は費用相場を確認してください。

まとめ — グレード名より先に確認すること

「ラジカル塗料」は独立した樹脂グレードではなく、劣化因子(ラジカル)の発生を抑える技術の通称です。シリコン系にも無機系にも採用されており、日本ペイントのように呼び方自体が変わることもあります。

見積書に「ラジカル」とだけ書かれていたら、まずメーカー名と商品名を確認しましょう。商品名が分かれば、期待耐用年数の公表有無や規格の取得状況を公式ページで自分で照合できます。年数が書かれていない製品を提案された場合は、その事実自体を悪いことと決めつけず、「なぜこのグレードを勧めるのか」「他の候補との金額差はいくらか」を施工店に確認する材料にしてください。

よくある質問

ラジカル塗料とは何ですか?

「ラジカル」とは、塗膜が紫外線・酸素・水にさらされたときに顔料と反応して発生する劣化因子のことです。SK化研は「ラジカルとは、塗膜に酸素、水の存在下で紫外線が当たることにより、塗膜中の無機顔料と接触することで発生する反応性の高い物質です」と説明しています。「ラジカル塗料」は、このラジカルの発生や広がりを抑える技術を採用した塗料を指す通称で、樹脂そのものの種類を表す言葉ではありません。

ラジカル制御型塗料はシリコン塗料と別のグレードですか?

公式表記を見る限り、明確に切り分けられるものではありません。SK化研「エスケープレミアムシリコン」とアステックペイント「シリコンREVO1000」はどちらも樹脂系統はシリコン系でありながらラジカル制御の技術を持っています。日本ペイントも2025年3月、「パーフェクトトップ」の一般名称に「シリコン系」という語を追加しました。詳しい経緯はシリコン塗料とはで扱っています。

ラジカル塗料にデメリットはありますか?

確認できる範囲では3点あります。(1)今回確認した3社の公式ページには「ラジカル塗料」の共通の定義は示されておらず、技術の呼び方も各社で違うこと、(2)公表されている期待耐用年数はメーカー自身が「参考値」としている数字で、地域や立地条件によって変わること、(3)日本ペイントのように製品ページで年数を公表していないメーカーもあることです。

ラジカル塗料の耐用年数は何年ですか?

メーカー・製品ごとに公表状況が異なるため、「ラジカル塗料は◯〜◯年」とひとまとめにはできません。SK化研「エスケープレミアムシリコン」は期待耐用年数14〜16年、アステックペイント「シリコンREVO1000」は13〜16年と公表しています。日本ペイント「パーフェクトトップSi」は年数の公表がありません。

見積書に「ラジカル塗料」とだけ書かれています。どう確認すればよいですか?

グレード名だけでは公式の公表値まで確認できないため、メーカー名と商品名を書き足してもらうのが確実です。商品名が分かれば、公式ページで期待耐用年数や規格の取得状況を自分で調べられます。見積書のどこを見るかは見積書の読み方をご覧ください。

出典

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