費用を知る
足場の役割と費用の考え方 — 見積書での確認ポイント
この記事は一次情報(官公庁・法令・メーカー公式情報)を確認のうえ作成していますが、専門家による監修は現在準備中です。監修体制については監修者についてのページをご確認ください。
この記事のポイント
- 足場には、作業員の安全確保と、仕上がりの品質確保という2つの役割がある
- 高さ2メートル以上の作業場所には作業床の設置が、労働安全衛生規則で定められている
- 足場を組まずに高所作業を行うと、墜落・転落のリスクが高まるだけでなく、仕上がりにもムラが出やすくなる
- 足場費用の単価そのものより、見積書で足場の種類・面積・付帯設備が明記されているかを確認することが大切
- 「足場代無料」をうたう広告は、内訳全体で確認することが大切(既存記事で詳述)
足場の役割と費用の考え方 — 見積書での確認ポイント
この記事の要点
- 足場には、作業員の安全確保と、仕上がりの品質確保という2つの役割があります。
- 高さ2メートル以上の作業場所には作業床の設置が、労働安全衛生規則で定められています。
- 足場を組まずに高所作業を行うと、墜落・転落のリスクが高まるだけでなく、仕上がりにもムラが出やすくなります。
- 足場費用の単価そのものより、見積書で足場の種類・面積・付帯設備が明記されているかを確認することが大切です。
- 「足場代無料」をうたう広告は、内訳全体で確認することが大切です。
足場の2つの役割 — 安全と品質
外壁塗装の見積書には、多くの場合「仮設足場費」という項目があります。この費用は単なる作業台の設置費用ではなく、大きく2つの役割に対する費用と考えると理解しやすくなります。
1つめは、作業員の安全確保です。2階建て以上の住宅では、外壁の多くが地上から数メートルの高さにあり、はしごや脚立だけでの作業は転落のリスクを伴います。足場は、こうした高所作業を安全に行うための土台になります。
2つめは、仕上がりの品質確保です。足場があることで、職人が無理のない姿勢で外壁の隅々まで手を届かせることができ、高圧洗浄・下地補修・塗装のいずれの工程でも、ムラのない安定した作業がしやすくなります。外壁塗装全体の工程の中での足場の位置づけは外壁塗装の流れで解説しています。
足場の設置は法令上のルールでもある
足場の設置は、業者の任意のサービスではなく、法令に基づく安全上の要請でもあります。労働安全衛生規則では、高さ2メートル以上の箇所で、墜落により作業者に危険を及ぼすおそれがある作業を行う場合には、適切な作業床を設置し、その端や開口部に手すりなどの墜落防止設備を設けることが定められています。また、高さ5メートルを超える箇所で作業を行わせる場合には、フルハーネス型の安全帯を使用させることも求められています(出典: 建設業労働災害防止協会資料)。
同資料によれば、こうした規制が整備されているにもかかわらず、建設業における死亡災害に占める「墜落・転落」災害の割合は、令和元年から令和5年にかけて依然として37〜41%程度で推移しているとされています。さらに、令和6年には労働安全衛生規則が改正され、幅が十分にある場所では原則として本足場を使用すること、足場の点検を行う際には点検者を指名すること、点検後に記録すべき事項に点検者の氏名を追加することなどが新たに定められました(同資料より)。建設業労働災害防止協会は、令和5年度からの「第9次建設業労働災害防止5か年計画」において、墜落・転落による死亡災害の平均発生件数を、前の5か年計画期間と比べて15%以上減少させるという目標を掲げています(同資料より)。足場にかかる費用は、こうした安全基準を満たすための必要なコストという側面がある、ということを踏まえておくとよいでしょう。DIYでの高所作業のリスクについては外壁塗装はDIYできる?でも解説しています。
足場費用は「単価」より「見積書の内訳」で確認する
足場費用の具体的な単価相場については、出典のある公的な統計や業界団体の公表資料が確認できなかったため、本記事では具体的な金額には触れません。金額の目安をお探しの場合は相場計算機や費用相場をご覧ください。
その代わりに、見積書を確認する際は、次のようなポイントを見ておくと安心です。
- 足場の種類が明記されているか: 「くさび緊結式足場」「枠組み足場」など、建物の形状や高さに応じて種類が異なります。
- 数量(面積など)が明記されているか: 建物の外周と高さから算出される「足場面積」をもとに計算されることが多く、この数量が示されていないと、他社との比較がしにくくなります。
- 飛散防止ネット(メッシュシート)の有無: 塗料の飛散を防ぐための付帯設備で、足場費用に含まれているか、別項目になっているかを確認しましょう。
- 養生費と別立てになっているか: 足場そのものの費用と、窓や隣家を保護する養生費は、本来別の作業です。見積書の項目分けについては見積書の読み方で詳しく解説しています。
「足場工事一式」とだけ書かれていて、種類や数量が分からない見積書は、内訳を質問してみることをおすすめします。なお、どの種類の足場を選ぶかは、敷地の広さや建物の形状、隣家との距離といった現場条件によって業者側が判断する専門的な事柄です。金額の大小だけで種類の良し悪しを判断するのではなく、まずは現場の状況に合った提案になっているかを確認する視点を持つとよいでしょう。
「足場代無料」という表記への注意
「足場代無料」を打ち出す広告を見かけることがありますが、無料をうたうこと自体が問題なのではなく、そのコストが他の項目(塗料代や諸経費など)に上乗せされていないかを、見積書全体の内訳で確認することが大切です。この点は見積書の読み方で詳しく解説していますので、あわせてご確認ください。
まとめ
足場は、作業員の安全確保と仕上がりの品質確保という2つの役割を持ち、法令上のルールに基づいて設置されるものです。費用の単価そのものより、見積書に足場の種類・数量・付帯設備が明記されているかを確認することが、内容を正しく比較するための第一歩になります。見積書全体の読み方は見積書の読み方、お手元の見積書の確認は見積書チェックをご利用ください。
よくある質問
外壁塗装になぜ足場が必要なのですか?
高い場所で作業する職人の安全を確保するためと、外壁の隅々まで無理のない姿勢で手が届く状態をつくり、仕上がりを安定させるための、2つの役割があります。
足場を組まずに工事することはできますか?
高さ2メートル以上の場所で墜落のおそれがある作業を行う場合、労働安全衛生規則で作業床の設置が定められています。法令上の安全対策として、足場(またはそれに準じる設備)が必要になるのが基本です。
足場代はどのように計算されるのですか?
建物の外周と高さから算出される「足場面積」をもとに計算されることが多く、見積書には独立した項目として記載されるのが基本です。具体的な単価の相場については、出典のある公表統計が確認できなかったため本記事では扱っていません。
見積書の足場の項目で確認すべきポイントは何ですか?
足場の種類、面積(または棟数・数量)、飛散防止ネットの有無などが具体的に記載されているかを確認しましょう。「足場工事一式」とだけ書かれている場合は、内訳を質問してみることをおすすめします。
「足場代無料」という広告は信用してもいいですか?
足場代無料であること自体が問題なのではなく、そのコストが他の項目に上乗せされていないかを見積書全体の内訳で確認することが大切です。詳しくは<a href="/column/hiyou/mitsumorisho-yomikata/">見積書の読み方</a>で解説しています。
出典
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