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外壁塗装の契約書は何を確認すればいいか — 建設業法が定める16項目と、相談窓口が見た実態のギャップ

この記事は、官公庁・法令・メーカー公式情報などの一次情報と出典を確認したうえで、塗装相場ナビ編集部が作成・更新しています。編集方針については運営ポリシーをご覧ください。

この記事のポイント

  • 建設業法第19条第1項は、建設工事の請負契約について16項目(第一号〜第十六号)を書面に記載し、署名または記名押印のうえ相互に交付することを義務付けている(e-Gov法令検索で条文を確認・2026-09-11)
  • 16項目は「工事内容」「請負代金の額」「工事着手・完成の時期」から「契約不適合責任(旧・瑕疵担保責任)」「紛争の解決方法」まで幅広く、外壁塗装の契約書でもそのまま照合できるチェックリストに組み直せる
  • 国民生活センターの消費者トラブルFAQでは、外壁塗装の相談に対し「契約書面等で確認」を繰り返し案内する一方、「契約書面に作業内容等が詳しく書かれていない場合」の対応も同じ回答内で説明しており、記載が薄いまま工事が進む実態を前提にしている
  • 「10年保証と言われた」という相談への回答も「まずは、契約書面等で保証内容を確認しましょう」から始まる。口頭の約束が書面に反映されているとは限らないという読み方ができる
  • 訪問販売によるリフォーム工事の相談件数は減少傾向にあるものの、2025年度も5,544件が寄せられている(国民生活センター公表・2026年7月31日更新)
契約書に署名する手元(イメージ)

※画像はイメージです(写真素材: Pexels)

この記事の要点

  • 建設業法第19条第1項は、建設工事の請負契約について**16項目(第一号〜第十六号)**を書面に記載し、署名または記名押印のうえ相互に交付することを義務付けています(e-Gov法令検索で条文を確認・2026-09-11)。
  • 16項目は「工事内容」「請負代金の額」といった基本情報から、「契約不適合責任」「紛争の解決方法」まで幅広く定められています。本文の一覧表で、自分の契約書と照らし合わせて確認できます。
  • 国民生活センターの消費者トラブルFAQは、外壁塗装の相談に「契約書面等で確認」を繰り返し案内する一方、「契約書面に作業内容等が詳しく書かれていない場合」の対応も同じ回答内で説明しています。記載が薄いまま工事が進む実態を前提にした案内です。
  • 「10年保証と言われた」という相談への回答も「まずは、契約書面等で保証内容を確認しましょう」から始まります。口頭の約束が書面に反映されているとは限らないという読み方ができます。
  • 訪問販売によるリフォーム工事の相談件数は減少傾向にあるものの、2025年度も5,544件が寄せられています(国民生活センター公表・2026年7月31日更新)。

契約書は「業者が自由に決めていい書類」ではない

外壁塗装の契約を結ぶとき、渡された契約書に何が書かれているべきか、一から確認する機会はあまりありません。書式は業者ごとに違い、専門用語も多いため、「まあこんなものか」とサインしてしまいがちです。

しかし契約書に何を書くべきかは、実は業者の自由裁量ではありません。建設業法第19条が、建設工事の請負契約の当事者(施主と業者の双方)に対して、契約締結時に一定の事項を書面に記載し、署名または記名押印して相互に交付することを義務付けています。外壁塗装工事もこの「建設工事」に含まれます。

条文の原文を国のe-Gov法令検索で確認すると、第19条第1項の柱書はこう書かれています。

建設工事の請負契約の当事者は、前条の趣旨に従つて、契約の締結に際して次に掲げる事項を書面に記載し、署名又は記名押印をして相互に交付しなければならない。

そのうえで、書面に記載すべき事項が第一号から第十六号まで列挙されています。「16項目」という数は当社の推測ではなく、条文を実際に数えた結果です。

法定16項目チェックリスト — 自分の契約書と照らし合わせる

条文の号数と文言を、施主が自分の契約書を見ながら確認できる形に組み直したものが次の表です。左の号数・条文文言は建設業法第19条第1項の原文、右の「確認する視点」は当社が読者向けに補った説明です。

条文が定める事項(要約) 契約書で確認する視点
第一号 工事内容 塗る範囲・塗らない範囲、使用する塗料の商品名・工法が、図面や仕様書で特定されているか
第二号 請負代金の額 総額が具体的な金額で明記されているか(「概算」のままになっていないか)
第三号 工事着手の時期及び工事完成の時期 開始日・完了予定日が具体的な日付か(「◯月頃」のような曖昧な表現でないか)
第四号 工事を施工しない日又は時間帯の定めをするときは、その内容 近隣配慮などで作業しない曜日・時間帯を定める場合、その内容が書かれているか(定めが無ければ記載不要)
第五号 前金払又は出来形部分に対する支払の定めをするときは、その支払の時期及び方法 着手金・中間金がある場合、支払時期と方法が具体的に書かれているか
第六号 設計変更・工事中止等があった場合の工期変更・代金変更・損害負担の定め 追加工事や仕様変更が起きたとき、金額と工期がどう変わるかのルールがあるか
第七号 天災その他不可抗力による工期変更・損害負担の定め 悪天候で工期が延びた場合の扱いが書かれているか
第八号 価格等の変動・変更に基づく代金・工事内容の変更の定め 資材価格の変動があった場合の対応が書かれているか
第九号 工事により第三者が損害を受けた場合の賠償負担の定め 近隣の建物や車両を傷つけてしまった場合の責任の所在が書かれているか
第十号 注文者が資材提供・機械貸与するときの内容及び方法の定め 施主側が足場や資材を用意する特殊な契約でなければ、多くの場合は該当なし
第十一号 検査の時期・方法及び引渡しの時期 工事完了後、誰がどう検査し、いつ引き渡すかが書かれているか
第十二号 工事完成後における代金の支払の時期及び方法 残金の支払い時期・方法(現金・振込等)が具体的に書かれているか
第十三号 契約不適合責任(工事の目的物が契約内容に適合しない場合の責任)の定めをするときは、その内容 仕上がりに不具合があったときの対応が書かれているか。関連: 外壁塗装の保証は3種類ある
第十四号 履行の遅滞等、債務不履行の場合の遅延利息・違約金その他の損害金 工期に遅れが出た場合のペナルティ規定があるか
第十五号 契約に関する紛争の解決方法 トラブルになった場合にどこで解決するか(調停機関等)の定めがあるか
第十六号 その他国土交通省令で定める事項 上記15項目以外にも、国土交通省令が定める事項が追加され得るという委任規定。契約書の細目は省令側の定めも関係する

ここで押さえておきたいのは、法律が定めているのは「書くべき事項」であって、書式そのものではないという点です。 書式は業者ごとに違って構いません。大事なのは、上の16項目に相当する中身が、自分の契約書のどこかに具体的に書かれているかどうかです。空欄になっている項目、「別途協議」とだけ書かれている項目があれば、契約前に業者へ確認する価値があります。

契約書チェックの3層構造

法定の16項目だけを見れば安心、というわけでもありません。国民生活センターの相談事例(次章で紹介)を踏まえると、確認すべきことは3つの層に分けて考えると整理しやすくなります。

外壁塗装の契約書チェック、3つの層 層1は建設業法第19条が定める法定16項目(工事内容・請負代金の額など)。層2は法律の義務ではないが国民生活センターの相談事例が示す追加確認ポイント(工事範囲・使用塗料の明記、写真記録など)。層3は訪問販売の場合に確認するクーリング・オフの書面(特定商取引法、書面受領日から8日以内なら解除できる場合がある)。出典: 建設業法第19条(e-Gov法令検索)、国民生活センター消費者トラブルFAQ。 層1: 法定16項目(必須) 建設業法第19条第1項 第一号〜第十六号 工事内容・請負代金の額・工期・支払時期・契約不適合責任 など 層2: トラブル予防の追加確認 法律の義務ではないが、相談事例が示す実務上の確認点 工事範囲・使用塗料の明記、施工前後の写真記録 など 層3: クーリング・オフ書面 訪問販売の場合、特定商取引法上の書面(8日以内なら解除可)
  • 層1(必須): 建設業法第19条が定める16項目。ここが空欄・曖昧な契約書は、法律が求める最低限の記載を満たしていない可能性があります。
  • 層2(実務上の確認): 法律が個別に「書け」と定めているわけではないものの、国民生活センターの相談事例で繰り返し問題になっている点です。工事範囲や使用塗料の明記(層1の第一号と重なる部分でもあります)、施工前後の写真記録などが該当します。
  • 層3(訪問販売時のみ): 突然の訪問を受けて契約した場合は、建設業法上の契約書面とは別に、特定商取引法上のクーリング・オフに関する記載が必要です。詳しくは外壁塗装のクーリングオフで解説しています。

「書面を確認しましょう」という案内が繰り返される理由

ここまでは法律が定める「たてまえ」の話でした。では実際の相談現場では何が起きているのでしょうか。国民生活センターが運営する消費者トラブルFAQサイトには、外壁塗装に関する相談とその回答が複数掲載されています。

塗り残し・塗りムラの相談(「作業後すぐに、塗り残しや塗りムラがあることに気づいた。塗装をやり直してほしい。」)への回答は、まず「契約書面等で、塗装作業の範囲や使用する塗料、塗装方法などを確認」することを案内しています。そして「契約書面と実際の作業の範囲や内容が異なる場合は、事業者に契約通りの作業を求めましょう」と続きます。ここまでは、層1・層2の内容がきちんと書かれていれば解決に向かいやすい、という話です。

ところが同じ回答は、「契約書面に作業内容等が詳しく書かれていない場合」への対応にも触れています。契約書の記載が薄いケースを想定した案内が、同じFAQの中に組み込まれているのです。これは、外壁塗装の契約書が必ずしも法定の16項目を具体的に満たした状態で交付されているとは限らない、という現場の実態を映しています。

保証年数をめぐる相談(「数年前に塗装した部分がひび割れてきた。契約時、10年保証と言われたので塗装をやり直してほしい。」)への回答も、「まずは、契約書面等で保証内容を確認しましょう」という一文から始まります。裏を返せば、口頭で交わされた「10年保証」という約束が、契約書面にそのまま反映されているとは限らないという前提に立った案内です。第十三号(契約不適合責任)や保証の性質については、外壁塗装の保証は3種類あるもあわせてご覧ください。

突然の訪問を受けて契約した相談(「突然訪問を受けて契約した。解約したい。」)への回答では、「特定商取引法の定める書面を受け取っていない場合は、いつでもクーリング・オフできます」と案内されています。この一文が案内として存在すること自体、書面が交付されないまま契約が成立してしまうケースが実際に相談として寄せられていることを示しています。

さらに、国民生活センターは「訪問販売によるリフォーム工事」の相談件数を年度別に公表しています(2026年7月31日更新)。この統計の「リフォーム工事」は、屋根・壁・増改築・塗装・内装の各工事の合計です。件数は2023年度11,879件・2024年度9,839件・2025年度5,544件と減少傾向にありますが、2026年度も5月31日現在で602件(前年同期は680件)が登録されています。件数が減っているからといって、書面や勧誘方法をめぐるトラブルが無くなったわけではありません。

法律の建前(書面を交付しなければならない)と、相談窓口が見ている現場の実態(書面が薄い・口約束が反映されていない・書面自体が交付されない)の間には、埋まっていないギャップがある――これが3つのFAQと相談件数の推移から読み取れることです。

契約前にできること

法律が定める16項目、相談事例が示す追加確認点を踏まえると、契約前にできることは次のように整理できます。

  1. 層1(法定16項目)を1つずつ照合する — 上の一覧表を印刷するか手元に置いて、自分の契約書に空欄・曖昧な記載がないか確認します。特に第一号(工事内容)と第十三号(契約不適合責任)は、あとで揉めやすい項目です。
  2. 口頭で聞いた条件は書面化を求める — 「10年保証」「この塗料を使う」といった説明を受けたら、契約書面のどこに書かれているかをその場で確認します。書かれていなければ、追記を依頼します。
  3. 訪問販売なら層3(クーリング・オフ書面)も確認する — 突然の訪問を受けて契約した場合は、建設業法上の契約書面とは別に、クーリング・オフに関する記載があるかを確認します。
  4. 複数社の契約書・見積書を並べて比較する — 金額だけでなく、16項目それぞれの書きぶりを比較すると、記載が薄い業者と厚い業者の差が見えてきます。見積書の段階での比較には見積書チェック見積書の読み方をご活用ください。

契約書は工事が終わったあとに読み返すものではなく、契約前に読み込んで、足りない項目を業者に埋めてもらうための書類です。16項目という具体的な数を知っているかどうかで、その場で「ここが書かれていませんね」と指摘できるかどうかが変わります。

よくある質問

外壁塗装の契約書には何が書いてあるべきですか?

建設業法第19条第1項が、書面に記載すべき事項を16項目(第一号〜第十六号)定めています。工事内容・請負代金の額・工事着手と完成の時期といった基本情報から、工期変更時の取り決め、契約不適合責任(不具合が見つかった場合の対応)、紛争の解決方法まで幅広く含まれます。本文の一覧表で、自分の契約書と照らし合わせて確認できます。

契約書に書かれている内容が実際の工事と違う場合はどうすればいいですか?

国民生活センターの消費者トラブルFAQでは、外壁塗装の塗り残し・塗りムラの相談に対し「契約書面と実際の作業の範囲や内容が異なる場合は、事業者に契約通りの作業を求めましょう」と案内しています。まずは契約書面の記載と実際の作業を突き合わせることが出発点になります。関連する相談の傾向は外壁塗装のトラブルは何が多いのかでも解説しています。

契約書に決まった書式はありますか?

建設業法は記載すべき「事項」を定めていますが、書式そのものを1つに決めてはいません。そのため書式は業者ごとに異なります。大切なのは書式の見た目ではなく、法定の16項目に相当する内容が具体的に書かれているかどうかです。

訪問販売で外壁塗装を契約した場合、契約書のほかに何を確認すればいいですか?

特定商取引法上の訪問販売にあたる契約では、法定の契約書面とは別に、クーリング・オフの対象であることを示す記載が必要です。書面を受け取った日から8日以内であれば契約を解除できる場合があります。詳しくは外壁塗装のクーリングオフをご覧ください。

契約前に契約書の内容を確認してもらう方法はありますか?

契約前の段階であれば、見積書の内容を確認しておくことが実務的な備えになります。当サイトの見積書チェック見積書の読み方もあわせてご確認ください。複数社から見積書と契約条件を取り寄せ、書面の記載内容そのものを比較することをおすすめします。

出典

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