悪質商法から身を守る
外壁塗装のクーリングオフ — 特定商取引法に基づく解説
この記事は一次情報(官公庁・法令・メーカー公式情報)を確認のうえ作成していますが、専門家による監修は現在準備中です。監修体制については監修者についてのページをご確認ください。
この記事のポイント
- 訪問販売で契約した外壁塗装工事は、特定商取引法第9条に基づき、契約書面を受け取った日から8日間はクーリング・オフができる
- 起算点は法律の要件を満たす契約書面(法定書面)を受け取った日。書面に不備があれば8日間のカウントは始まらない
- クーリング・オフ期間中に着手された工事について、業者は代金を請求できず、原状回復も無償で求められる
- 通知は書面のほか電磁的記録(メール等)でも可能。発送した時点で効力が生じる
- 現金3,000円未満の取引は対象外だが、外壁塗装工事の金額でこれに該当することは通常考えにくい
外壁塗装のクーリングオフ — 特定商取引法に基づく解説
この記事の要点
- 訪問販売(業者が自宅等に来て契約した場合)で契約した外壁塗装工事は、特定商取引法第9条に基づき、法律の要件を満たす契約書面を受け取った日から8日間はクーリング・オフ(契約の申込みの撤回・解除)ができます。
- 起算点は「法律が求める記載事項を満たした契約書面」を受け取った日です。書面に不備がある場合、8日間のカウントはそもそも始まりません。
- クーリング・オフ期間中に工事に着手されていても、業者は工事費用を請求できず、現状を変更された場合は無償での原状回復も請求できます。
- 通知は書面のほか、電子メールなどの電磁的記録でも行えます。発送した時点で効力が生じます。
- 現金3,000円未満の取引はクーリング・オフの対象外ですが、外壁塗装工事の金額でこれに該当することは通常考えにくい金額です。
この記事は一般的な制度の説明であり、個別の契約についての最終的な法的判断ではありません。実際に解除を検討する場合は、後述する消費生活センター等にあわせてご相談ください。
クーリング・オフとは
クーリング・オフとは、いったん契約しても、法律で定められた一定の期間内であれば、消費者側から無条件に契約の申込みを撤回・解除できる制度です。外壁塗装工事の契約であっても、業者が自宅等に来て契約する「訪問販売」に該当する場合は、特定商取引法第9条の対象になります。
一方、消費者自身が店舗に出向いて契約した場合や、業者を自分で探して見積もりを依頼し、来訪してもらったうえで契約した場合など、契約形態によっては訪問販売に該当しない、あるいは該当するかどうかの判断が分かれるケースもあります。判断に迷う場合は、契約の経緯を整理したうえで消費生活センターに相談することをおすすめします。
クーリング・オフができる期間と起算点
特定商取引法第9条第1項では、契約書面を受け取った日から8日を経過するとクーリング・オフができなくなる、と定められています。ここでの「契約書面」とは、法律(第5条第1項・第2項)が求める記載事項を満たした書面のことです。それより前に、契約内容を記載した申込書面(第4条第1項の書面)を受け取っていた場合は、その申込書面を受け取った日が起算点になります。つまり、口頭での約束や、内容の整っていないメモ書き程度のものを受け取っただけでは、8日間のカウントは始まりません。
書面に不備がある場合、8日間は「まだ始まっていない」
ここが特に重要なポイントです。契約書面に、クーリング・オフができる旨の記載がない、金額や工事内容の記載が不十分など、法律が求める記載事項を満たしていない場合、その書面は第9条第1項が定める「法定書面」とは認められません。つまり、そもそも8日間のカウントが始まっていない状態になります。
このため、契約から8日以上経っていても、実際に受け取った書面に不備があれば、クーリング・オフができる可能性があります。逆に言えば、業者から渡された契約書面にクーリング・オフに関する記載やその他の必要事項がきちんと書かれているかどうかは、契約時に確認しておきたいポイントです。
なお、現金3,000円未満の取引などそもそも法律上クーリング・オフの対象にならない取引については、この「クーリング・オフができない旨の記載漏れ」があったとしても、それだけでクーリング・オフが可能になるわけではありません(消費者庁通達より)。外壁塗装工事は通常数十万円から数百万円単位のため、この少額取引の適用除外に該当することは通常考えにくいといえます。
少額取引の適用除外(3,000円未満)
特定商取引法施行令第17条により、現金取引でその総額が3,000円未満の場合はクーリング・オフの対象外とされています。外壁塗装のような高額な工事契約でこの基準に該当することは、通常想定されません。
工事に着手されていても、費用は請求されない
クーリング・オフによって契約が解除された場合、たとえすでに工事(役務)の提供が始まっていたとしても、業者はその対価を消費者に請求できません(特定商取引法第9条第5項)。また、工事によって建物や敷地の現状が変更されていた場合、消費者は無償での原状回復を請求できます(同条第7項)。これらの規定に反して消費者に不利になる特約は無効です(同条第8項)。つまり「もう工事を始めてしまったから、材料費だけでも払ってほしい」といった請求は、法律上認められません。
クーリング・オフの通知方法
クーリング・オフの意思表示は、書面または電磁的記録(電子メールなど)によって行います。効力が生じるのは、通知を「発した時点」です(特定商取引法第9条第2項)。つまり、業者に届いた日ではなく、発送した日を基準に期間内かどうかが判断されます。
法律上、内容証明郵便でなければならないという決まりはありませんが、いつ・どのような内容で通知したかを客観的に証明できる記録が残るため、実務上は内容証明郵便(または配達記録が残る方法)で送るケースが多く見られます。電子メール等で通知する場合も、送信日時や内容がわかる形で記録を残しておくと安心です。
8日を過ぎてしまった場合は
クーリング・オフの期間を過ぎてしまった場合でも、契約時に事実と異なる説明を受けて誤認した結果契約してしまった場合など、別の制度で契約の取消しができることがあります。点検商法のような不安をあおる手口については 点検商法とは — 手口と対処法 でも触れています。まずは消費生活センター等に相談し、契約の経緯を整理することをおすすめします。
契約前にできる備え
クーリング・オフは契約後の救済手段ですが、そもそも急いで契約しないことが一番の備えになります。訪問営業を受けた際に確認しておきたいポイントは 訪問営業が来た時のチェックリスト に、見積書の内容を確認する際のポイントは 見積書の読み方 にまとめています。
よくある質問
訪問営業で外壁塗装を契約しました。何日以内ならクーリング・オフできますか?
法律の要件を満たした契約書面を受け取った日から8日間です。書面が交付されていない、または記載内容に不備がある場合は、8日間のカウントがそもそも始まっていない可能性があります。
もう工事が始まっています。それでもクーリング・オフできますか?
できます。工事に着手されていても、クーリング・オフが成立すれば業者は工事費用を請求できず、現状を変更された部分は無償で元に戻すよう請求できます(特定商取引法第9条第5項・第7項)。
クーリング・オフの連絡は電話でもいいですか?
特定商取引法が定めるクーリング・オフは書面または電磁的記録(電子メール等)による通知が必要です。電話のみの連絡は、後で「言った・言わない」の争いになりやすいため、書面かメールで、記録が残る形で通知することをおすすめします。
契約書面を受け取ってから8日を過ぎてしまいました。もう解約できませんか?
受け取った書面に法律上必要な記載事項の不備があった場合は、8日間のカウントが始まっていない可能性があります。また、事実と異なる説明で誤認して契約した場合は、別の制度で取消しができることもあります。まずは消費生活センターにご相談ください。
どんな契約でもクーリング・オフできますか?
特定商取引法上の訪問販売に該当する契約が対象です。現金3,000円未満の取引は対象外ですが、外壁塗装工事の金額でこれに該当することは通常考えにくいといえます。契約形態によって該当するかどうかの判断が分かれる場合もあるため、迷ったら消費生活センターに相談することをおすすめします。
出典
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