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屋根塗装は意味ない? 「無駄」と言われる3つの論拠をメーカー公式情報で検証する
この記事は、官公庁・法令・メーカー公式情報などの一次情報と出典を確認したうえで、塗装相場ナビ編集部が作成・更新しています。編集方針については運営ポリシーをご覧ください。
この記事のポイント
- 「屋根塗装は意味ない」という言説には主に3つの論拠があるが、いずれも「常にそうだ」という主張ではなく、屋根の状態によって当てはまる場合とそうでない場合がある
- エスケー化研の公式カタログは、彩色スレート瓦・スレート屋根について「基材自体の強度低下が著しく、塗装できない場合がありますので、ご注意ください」と注意喚起しており、劣化の程度次第では塗装が対象外になることをメーカー自身が認めている
- 一方でケイミューの公式情報は、表面の色が薄くなっただけで基材に損傷がなければ「防水性などの屋根材基本性能に問題はありません」としており、色あせ段階と基材劣化段階を分けて考える必要がある
- 「縁切りを失敗すると雨漏りを招く」という論拠は、縁切りという工程自体の必要性を示すものであり、屋根塗装という選択そのものを無意味にする根拠にはならない。ただしケイミューは差し込み型の縁切り補助部材について「割れの原因になるため使用しないでください」と注意しており、工法の選び方は屋根材によって確認が必要
- 日本ペイント「サーモアイシーラー」のように、脆弱化し始めた表面を補強する専用下塗り材も存在し、色あせや初期の脆弱化の段階では塗装で対応できる余地が残っている
※画像はイメージです(写真素材: Pexels)
「屋根塗装なんて意味ない」「どうせ数年でまた劣化する」という言説をネットで見かけて、自宅の屋根塗装をやるべきか迷っている方は多いと思います。この主張には確かに一理ある部分もありますが、屋根材メーカー・塗料メーカーの公式情報を確認すると、「常に意味がない」わけではなく、屋根の劣化がどの段階にあるかによって答えが変わることがわかります。この記事では、「意味ない」と言われる主な論拠を1つずつ整理し、メーカー公式のカタログ・製品情報と突き合わせて検証したうえで、自宅の屋根で判断する際の考え方を整理します。
この記事の要点
- 「屋根塗装は意味ない」という言説には主に3つの論拠がありますが、いずれも「常にそうだ」という主張ではなく、屋根の状態によって当てはまる場合とそうでない場合があります。
- エスケー化研の公式カタログは、彩色スレート瓦・スレート屋根について「基材自体の強度低下が著しく、塗装できない場合がありますので、ご注意ください」と注意喚起しており、劣化の程度次第では塗装が対象外になることをメーカー自身が認めています。
- 一方でケイミューの公式情報は、表面の色が薄くなっただけで基材に損傷がなければ「防水性などの屋根材基本性能に問題はありません」としており、色あせ段階と基材劣化段階を分けて考える必要があります。
- 「縁切りを失敗すると雨漏りを招く」という論拠は、縁切りという工程自体の必要性を示すものであり、屋根塗装という選択そのものを無意味にする根拠にはなりません。ただしケイミューは差し込み型の縁切り補助部材について「割れの原因になるため使用しないでください」と注意しており、工法の選び方は屋根材によって確認が必要です。
- 日本ペイント「サーモアイシーラー」のように、脆弱化し始めた表面を補強する専用下塗り材も存在し、色あせや初期の脆弱化の段階では塗装で対応できる余地が残っています。
「屋根塗装は意味ない」と言われる主な論拠は3つ
検索や口コミで見かける「屋根塗装は意味ない」という主張を整理すると、おおむね次の3つの論拠に集約されます。
- 基材そのものが劣化しすぎていると、表面を塗り替えても意味がないという指摘
- 屋根材の種類によっては、そもそも塗装に向かないものがあるという指摘
- 縁切り(瓦の重なり部分の処理)を失敗すると、逆に雨漏りを招くという指摘
これらはいずれも工事の現場で実際に起こりうる話であり、根拠のない俗説とは言い切れません。ただし、「どんな屋根でも当てはまる話」なのか「特定の条件下でだけ当てはまる話」なのかを区別しないまま「意味ない」という結論だけが独り歩きしているケースが多いのも実情です。以下、屋根材メーカー・塗料メーカーの公式情報と突き合わせながら、1つずつ検証します。
論拠1: 「基材が劣化しすぎると意味がない」は本当か
この論拠については、塗料メーカーの公式カタログにも、条件付きで同じ趣旨の注意喚起があります。エスケー化研の屋根用遮熱塗料「クールタイト」シリーズの公式カタログには、次の記載があります(出典: エスケー化研公式カタログ)。
基材自体の強度低下が著しく、塗装できない場合がありますので、ご注意ください。
これは彩色スレート瓦・スレート屋根を対象とした注意書きで、同カタログの適用下地の欄にも「彩色スレート瓦・スレート屋根の場合、基材自体の強度低下が著しく、塗装できない場合もありますのでご注意ください」という記載が別途あります。表現に多少の違いはありますが、塗料メーカー自身が「基材の状態によっては塗装できない場合がある」ことを明記している点は一貫しています。つまりこの論拠は、少なくともスレート系の屋根材については、誇張ではなく塗料メーカーの公式見解と一致しています。
ただし、ここで見落としてはいけないのが「著しく」という条件です。屋根材メーカーのケイミューは、公式カタログで次のように説明しています(出典: ケイミュー公式カタログ)。
ケイミュー屋根材の表面の色が薄くなった場合でも基材に損傷等なければ防水性などの屋根材基本性能に問題はありません。リフレッシュコートは美観の回復・向上を図るための塗料です。
つまり、色あせやチョーキング(白亜化)だけであれば、基材が無事な限り防水性能そのものはまだ保たれているという整理です。「基材が劣化しすぎると意味がない」という論拠は、あくまで基材の強度低下が「著しい」段階に限った話であり、色あせの段階でこれを持ち出して「うちの屋根塗装も無駄だ」と判断するのは早計です。判断すべきは経過年数ではなく、実際に基材がどちらの段階にあるかです。
論拠2: 「屋根材の種類によっては塗装に向かない」は本当か
この論拠についても、エスケー化研の注意喚起が根拠として引用されることが多いです。実際、上記の引用は彩色スレート瓦・スレート屋根に特有の注意であり、同カタログを見る限り金属屋根・トタン屋根の適用下地には同種の強度低下に関する注意書きは付いていません。つまりスレート系の屋根材だけに存在する固有のリスクとして、塗料メーカーが公式に注意喚起している内容です。
ネット上では、2000年代前半までに製造された一部のノンアスベスト系のスレート屋根材について、基材の劣化が比較的早く進みやすいという指摘が広く流通しています。ただし、この記事では特定の商品名までは扱いません。特定製品の劣化傾向を断定するには、その製品を製造したメーカー自身が公表している一次情報の確認が必要であり、今回はメーカー公式サイトでその告知ページを確認できませんでした。確実に言えるのは、エスケー化研が公式カタログで示すとおり、スレート系の屋根材には「基材自体の強度低下が著しい場合は塗装できない」という、金属屋根にはない固有の注意点が存在するということです。自宅の屋根材がどのメーカー・どの製品かが分かれば、そのメーカーの公式情報を確認するのが最も確実な調べ方です。
論拠3: 「縁切りを失敗すると逆に雨漏りを招く」は本当か
スレート屋根は瓦を少しずつ重ねて葺いてあり、重なり部分のすきまから雨水や結露水を排出する構造になっています。塗装によってこのすきまが塗料でふさがれると水はけが悪くなり、内部に水が溜まって腐食や漏水の原因になり得ます。そこで塗装の最後にすきまを切り直す作業を「縁切り」と呼び、屋根材メーカーのケイミューは自社製品向けの公式カタログで次のように案内しています(出典: ケイミュー公式カタログ)。
水切り部に塗料がたまると雨漏れにつながりますので、必ず「縁切り」をしてください。ただし、差し込み型の縁切り補助部材は割れの原因になるため使用しないでください。
この引用からわかるのは2つのことです。1つは、縁切りをしないこと自体が雨漏りの原因になりうるという事実(だからこそ縁切りは標準的な必須工程です)。もう1つは、縁切りの方法にも種類があり、屋根材メーカーが特定の工法(差し込み型の補助部材)に注意を出しているという事実です。
この論拠を正しく読み解くと、「縁切りが不十分な工事は雨漏りにつながりうる」という指摘であって、「屋根塗装という選択そのものが無意味だ」という結論にはつながりません。工事の質(縁切りを適切な工法で行っているか)の問題を、屋根塗装という選択肢そのものへの評価にすり替えてしまうと、判断を誤ります。差し込み型の補助部材を使ってよいかどうかは屋根材の種類によって変わりうる点なので、見積もりの際に施工店へ工法を確認しておくと安心です。縁切りを含む工程の詳細はスレート屋根は塗装で維持できる?で解説しています。
では「意味がある」のはどんな状態か
ここまでの検証を踏まえると、「意味がある」塗装と「意味がない」塗装は、次のように整理できます。
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色あせ・チョーキングの段階: ケイミューの情報のとおり、基材に損傷がなければ防水性などの基本性能自体はまだ保たれている段階です。この段階での塗装は、性能を新品に戻すというより、劣化の進行を遅らせる予防保全としての意味合いが強くなります。
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表面が脆くなり始めている段階: 日本ペイントの下塗り材「サーモアイシーラー」は、公式製品ページで適用下地を「波形スレート屋根、住宅用化粧スレート屋根」とする専用シーラーで、次のように説明されています(出典: 日本ペイント公式サイト)。
エポキシ樹脂によって、ぜい弱素材の表面を補強し、素材と強固に密着します。
「ぜい弱素材の表面を補強」という表現からわかるとおり、表面がある程度脆くなった状態であっても、専用の補強シーラーで下地を固めたうえで塗装するという対応が、塗料メーカー側の製品として用意されています。この段階までであれば、塗装は依然として選択肢になります。
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基材自体の強度低下が著しい段階: エスケー化研が注意喚起するとおり、この段階では塗装できない場合があります。反り・ひび割れ・欠けが目立つ、瓦の一部が破損している、雨漏りがすでに発生しているといった状態は、塗装ではなく葺き替えやカバー工法を含めて業者の現地診断を受ける段階です。
つまり「意味があるかどうか」は、経過年数の長短では決まりません。同じ築年数でも、劣化がどちらの段階にあるかで答えが変わります。
塗装以外の選択肢との使い分け
基材の強度低下が著しい段階まで進んでいる場合、塗装の代わりに検討されるのが次の2つです。
- 葺き替え: 既存の屋根材をすべて撤去し、新しい屋根材に張り替える工法です。基材ごと新しくするため、強度低下そのものを解消できます。
- カバー工法: 既存の屋根材を撤去せず、その上に新しい屋根材を重ねて葺く工法です。撤去費用がかからない一方、建物の耐荷重や下地の状態によっては採用できない場合があります。
どちらが適しているかは、屋根の下地の状態・建物の構造・雨漏りの有無などによって変わるため、現地診断を受けたうえで業者に相談するのが基本です。具体的な費用のレンジは工事内容によって大きく変わるため、この記事では金額には触れません。全国的な目安を先に把握しておきたい場合は屋根塗装の費用相場はいくら?をご確認ください。屋根材ごとの劣化サインの見分け方はスレート屋根・トタン屋根それぞれの記事で詳しく解説しています。
自宅で使える判断の流れ
これまでの検証を、自宅の屋根で判断する際に使える流れとしてまとめると、次のようになります。
- 色あせ・チョーキングだけか、それとも反り・ひび割れ・欠けがあるかを目視で確認する(高所での確認は無理をせず、双眼鏡や写真を使う、または業者に依頼する)
- 色あせ・チョーキングだけであれば、予防保全としての塗装が選択肢になる
- 反り・ひび割れ・欠けが見られる、または雨漏りが発生している場合は、業者に現地診断を依頼し、塗装で対応できる範囲かどうかを確認してもらう
- 診断の結果、基材の強度低下が著しいと判断された場合は、葺き替え・カバー工法も含めて比較検討する
- 塗装を選ぶ場合は、屋根材に合った専用の下塗り材・上塗り材が使われているか、縁切りの工法が屋根材メーカーの注意事項と矛盾していないかを見積もり時に確認する
「屋根塗装は意味ない」という言説は、基材の強度低下が著しい段階を念頭に置けば的外れではありませんが、色あせ・チョーキング段階の屋根にまで一律に当てはめる根拠にはなりません。年数だけで判断せず、実際の劣化状態を現地で確認してもらったうえで、塗装・葺き替え・カバー工法のどれが自宅に合っているかを見積もり段階で比較することが、次に検索し直さずに済む判断材料になります。
よくある質問
「屋根塗装は意味ない」と言われるのはなぜですか?
主な論拠は3つあります。①基材そのものが劣化しすぎると塗装では回復しない、②屋根材の種類によっては塗装に向かないものがある、③縁切りを失敗すると逆に雨漏りを招く、という指摘です。いずれも「特定の状態では」当てはまりうる指摘ですが、「すべての屋根で常に意味がない」ことを示す根拠ではありません。屋根の劣化がどの段階にあるかによって答えが変わります。
屋根塗装が「意味ある」のはどんな状態のときですか?
色あせやチョーキング(白亜化)など、表面の劣化にとどまっている段階です。ケイミューの公式情報によれば、表面の色が薄くなった場合でも基材に損傷がなければ防水性などの基本性能に問題はないとされています。この段階での塗装は、性能を新品に戻すというより、劣化の進行を遅らせる予防保全としての意味合いが強くなります。
屋根塗装が「意味ない」と判断されるのはどんな状態のときですか?
基材そのものの強度低下が著しい状態です。エスケー化研の公式カタログは、彩色スレート瓦・スレート屋根について「基材自体の強度低下が著しく、塗装できない場合がありますので、ご注意ください」と注意喚起しています。反り・ひび割れ・欠けが目立つ、瓦の一部が破損している、すでに雨漏りが発生しているといった状態であれば、塗装よりも葺き替えやカバー工法を含めた現地診断を検討する段階です。
縁切りに失敗すると屋根塗装は意味がなくなりますか?
縁切り(瓦の重なり部分のすきまを塗料でふさがないようにする工程)が不十分だと、内部に水が溜まって腐食や漏水の原因になり得ます。ただしこれは「塗装という選択自体が無意味」という話ではなく、「工事の質」の問題です。縁切りの方法にも種類があり、ケイミューは自社製品向けカタログで差し込み型の縁切り補助部材について「割れの原因になるため使用しないでください」と注意しています。工法の選び方は屋根材の種類によって確認したほうがよい点であり、縁切り自体は屋根塗装の標準的な必須工程です。
屋根塗装以外の選択肢にはどんなものがありますか?
基材の劣化が進んでいる場合は、葺き替え(屋根材を新しくする)やカバー工法(既存の屋根材の上に新しい屋根材を重ねる)が選択肢になります。どちらを選ぶかは屋根の下地の状態や建物の耐荷重によって変わるため、現地診断のうえで業者に相談することをおすすめします。具体的な費用の目安は当サイトの屋根塗装の費用相場はいくら?をご確認ください。
出典
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