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塗り替え時期を見極める

トタン屋根は塗装で維持できる? 劣化サインと塗装できない状態の見分け方

この記事は、官公庁・法令・メーカー公式情報などの一次情報と出典を確認したうえで、塗装相場ナビ編集部が作成・更新しています。編集方針については運営ポリシーをご覧ください。

この記事のポイント

  • トタンは正式には亜鉛めっき鋼板で、日鉄鋼板の公式情報によれば、ガルバリウム鋼板は一般的な亜鉛めっき鋼板(Z27)と比べて約3〜6倍の耐久性が期待できるとされ、トタンはガルバリウム鋼板よりさびに対して不利な条件にある
  • トタン屋根の劣化サインは、汚れ・さびの拡大・光沢低下・白化(チョーキング)・塗膜のハガレなどで判断できる(関西ペイント公式カタログ)
  • トタン屋根は波型の山部分・継ぎ目・折り曲げ部分で塗膜が薄くなりやすく、さびが先行しやすい弱点になると複数の塗料メーカーの施工要領が注意喚起している
  • 塗料メーカーのカタログは、さびの除去とさび止め下塗りまでを塗装工程として仕様化しているが、鋼板そのものが腐食で欠損した状態(穴あき)への対応は塗装の範囲外で、葺き替えやカバー工法を含めた業者診断が必要になる
  • 日本ペイント「サーモアイ」シリーズやエスケー化研「クールタイト」シリーズは、トタン屋根を明示的な適用下地としている
青空の下の青い波板トタン屋根(イメージ)

※画像はイメージです(写真素材: Pexels)

「トタン屋根はもう寿命だから塗装しても意味がない」と言われる一方、「まだ塗装で十分もつ」とも言われ、判断に迷う方は多いと思います。トタンは他の金属屋根材と比べてさびに弱い素材ですが、それがそのまま「塗装できない」を意味するわけではありません。この記事では、トタンという素材の性質、劣化サインの見分け方、塗装で対応できる状態とできない状態の線引きを、金属屋根を扱う塗料メーカーの公式情報をもとに整理します。

この記事の要点

  • トタンは正式には亜鉛めっき鋼板で、日鉄鋼板の公式情報によれば、ガルバリウム鋼板は一般的な亜鉛めっき鋼板(Z27)と比べて約3〜6倍の耐久性が期待できるとされ、トタンはガルバリウム鋼板よりさびに対して不利な条件にあります。
  • トタン屋根の劣化サインは、汚れ・さびの拡大・光沢低下・白化(チョーキング)・塗膜のハガレなどで判断できます(関西ペイント公式カタログ)。
  • トタン屋根は波型の山部分・継ぎ目・折り曲げ部分で塗膜が薄くなりやすく、さびが先行しやすい弱点になると複数の塗料メーカーの施工要領が注意喚起しています。
  • 塗料メーカーのカタログは、さびの除去とさび止め下塗りまでを塗装工程として仕様化していますが、鋼板そのものが腐食で欠損した状態(穴あき)への対応は塗装の範囲外で、葺き替えやカバー工法を含めた業者診断が必要になります。
  • 日本ペイント「サーモアイ」シリーズやエスケー化研「クールタイト」シリーズは、トタン屋根を明示的な適用下地としています。

トタンとは何か — ガルバリウム鋼板との耐食性の違い

「トタン」は通称で、正式には亜鉛めっき鋼板と呼ばれる金属屋根材です。鉄板の表面を亜鉛でめっきしてさびを防ぐ構造ですが、亜鉛単体のめっき層は、後発のガルバリウム鋼板(アルミニウム・亜鉛・シリコンの合金めっき)より耐食性で劣ります。

鋼板メーカーである日鉄鋼板株式会社の公式サイトによれば、ガルバリウム鋼板は「亜鉛鉄板(Z27)の約3〜6倍の耐久性が期待できる」とされています(出典: 日鉄鋼板株式会社公式サイト)。ここでいう「亜鉛鉄板(Z27)」は一般的な亜鉛めっき鋼板、つまりトタンに相当する表記です。

なお、この鋼板メーカーの公式ページでは「トタン」という通称は使われておらず、「亜鉛鉄板」という技術用語で説明されています。一方、後述する塗料メーカー各社は自社カタログで「トタン」という通称をそのまま適用下地として明記しています。同じ素材でも資料によって呼び方が違う点は、読み比べる際に知っておくと混乱が減ります。

トタンがガルバリウム鋼板より耐食性で劣るからといって、直ちに交換が必要というわけではありません。表面の塗装(塗膜)がめっき層を保護している間は、トタンでも屋根として機能します。むしろ耐食性で劣る分、塗装によるメンテナンスの重要度がガルバリウム鋼板より高い素材だと捉えるのが実態に近いでしょう。

トタン屋根に出やすい劣化サイン

関西ペイントの公式カタログでは、屋根の塗り替え時期の兆候として次の6項目が挙げられています(出典: 関西ペイント公式カタログ)。

  • 汚れ: 落ち葉や大気中の汚れが蓄積し、そこから塗膜が劣化していく
  • さび: さびの発生が屋根全体の3%程度に達すると、急速にさび面が拡大していくとされる
  • 光沢低下: つや(光沢)がなくなることは塗膜劣化の初期サイン
  • 付着性能の低下: ガムテープなどで確認し、テープに塗膜が1割以上付着するようであれば塗り替えの目安
  • 白化(チョーキング): 塗膜の劣化が進むと、手で触るとベッタリと白い粉状のものが付着する
  • ハガレ: 塗膜がハガレて金属がむき出しになると、さびが発生し、最終的には腐食し雨水が侵入する

この6項目は屋根材全般に共通する着眼点ですが、トタンの場合「ハガレ→金属露出→さび」という流れが、耐食性で劣る分だけ早く進みやすいと考えられる点に注意が必要です。

トタン特有の弱点になりやすい部位

トタン屋根の点検では、屋根全体だけでなく「どの部位から傷みやすいか」を知っておくと見落としを減らせます。塗料メーカー2社の施工要領には、それぞれトタン特有の弱点部位についての注意書きがあります。

エスケー化研の公式カタログ(金属屋根・トタン屋根向けの改修仕様)には、次の記載があります(出典: エスケー化研公式カタログ)。

波型トタンの山部分や、トタン板の継ぎ目、折り曲げ部分は膜厚が薄くなりがちです。先に拾い塗りすることをお奨めいたします。

関西ペイントの公式カタログにも、トタンの下地処理について次の注意書きがあります(出典: 関西ペイント公式カタログ)。

特にトタンの折り曲げ部分はほこり・砂等がたまり易いので入念な清掃を行ってください。

2社の着目点は少しずつ異なりますが(エスケー化研は「山部分・継ぎ目・折り曲げ部分の塗膜の薄さ」、関西ペイントは「折り曲げ部分の汚れの溜まりやすさ」)、トタン特有の凹凸構造が弱点になりやすい点では一致しています。業者に点検を依頼する際は、平らな面だけでなく継ぎ目や折り曲げ部分のさびの有無も確認してもらうとよいでしょう。

塗装工程で重要な「ケレン」と「さび止め下塗り」

トタン屋根の塗装で最初に行われるのが、さびや劣化した旧塗膜を除去して塗料が密着しやすい下地に整えるケレンという工程です。関西ペイントの公式カタログでは、標準的な素地調整として次のように定義されています(出典: 関西ペイント公式カタログ)。

高圧洗浄、3種ケレン程度の処理を行い、さび・劣化(膨れ・ワレ・浮き)塗膜・ごみ・よごれなどを入念に除去した清浄な面にする。

エスケー化研のカタログでも、トタン下地に対する注意として次のように明記されています(出典: エスケー化研公式カタログ)。

トタン下地が見えている所や、さびの生じている箇所は、ケレン後必ずさび止め塗料を塗装してください。

このケレンのあとに行われるのが、さび止め効果を持つ下塗り材の塗装です。日本ペイントの専用下塗り材「サーモアイプライマー」は、公式製品ページで「2液弱溶剤エポキシ樹脂高日射反射率(遮熱)さび止め塗料」と説明されている、トタン屋根などの塗り替えに使うさび止め下塗り材です(出典: 日本ペイント公式サイト)。エスケー化研のカタログも、上で引用したとおり「ケレン後必ずさび止め塗料を塗装」することを求めています。

ケレンでさびや劣化塗膜を物理的に取り除き、その上にさび止め効果のある下塗り材を塗ってから上塗りするという工程は、複数のメーカーで共通する標準仕様です。この工程を省略・簡略化すると上塗りだけでは進行中のさびを止められない可能性があるため、見積もりの際は下塗り材の種類とさび止め効果の有無を確認しておくと安心です。

塗料の選び方 — メーカーが示す適用下地を確認する

金属屋根用の塗料には、トタン屋根を明示的な適用下地として挙げている製品があります。日本ペイント「サーモアイSi」の公式製品ページでは適用下地として「スレート・波形スレート屋根、金属屋根・トタン、住宅用化粧スレート屋根」が挙げられ(出典: 日本ペイント公式サイト)、エスケー化研「クールタイト」シリーズの公式カタログでも「彩色スレート瓦・スレート屋根・金属屋根・トタン屋根等」が適用下地として明記され、金属屋根・トタン屋根向けの専用改修仕様(下地処理→さび止め下塗り→上塗り2回)が用意されています(出典: エスケー化研公式カタログ)。

いずれも遮熱機能を持つ屋根用塗料で、トタンを含む金属屋根が主要な用途のひとつとして想定されていることがうかがえます。塗料グレード別の特徴や期待耐用年数の考え方は屋根塗装の耐用年数は何年?で解説していますので、あわせてご確認ください。この記事では年数の一般論よりも、トタンという下地に対応した製品・工程になっているかを確認する視点を優先しています。

「塗装できない」と判断されるケースと、その後の選択肢

ここまでの工程は、いずれもさびを除去し、下地を保護し直すことが前提です。この前提が崩れるのが、鋼板そのものが腐食で薄くなり、穴があいている状態です。

今回確認した各メーカーのカタログには、彩色スレート瓦・スレート屋根について「基材自体の強度低下が著しく、塗装できない場合がありますので、ご注意ください」という注意喚起はありましたが、トタン屋根の穴あきについて明記した一次資料は確認できませんでした。ただし塗装工事は既存の下地の表面を保護する工事であり、下地自体(鋼板)を作り直す工事ではありません。ケレンやさび止め下塗りが想定しているのは「さびが表面〜内部に進んでいるが、鋼板としての形状は保たれている」状態までで、貫通した穴を塗装だけで塞ぐことはできないと考えるのが自然です。

次のような状態が見られる場合は、塗装ではなく葺き替え(屋根材を新しくする)やカバー工法(既存の屋根の上に新しい屋根材を重ねる)を含めて、業者に現地診断を依頼することをおすすめします。

  • 屋根に穴があいている、または光が漏れている
  • さびで屋根材がめくれる・欠ける感触がある
  • 雨漏りがすでに発生している

逆に、さびが表面の一部にとどまり鋼板の形状が保たれている段階であれば、ケレンとさび止め下塗りを含む塗装で対応できる可能性があります。年数だけで判断せず、現地診断の結果を踏まえて決めることが基本です。

まとめ

トタンはガルバリウム鋼板より耐食性で劣る素材ですが、それは「塗装しても無駄」という意味ではなく、むしろメンテナンスの重要度が高い素材だということです。さびが表面〜内部にとどまっている段階ならケレンとさび止め下塗りを含む塗装で対応できる可能性があり、波型の山部分・継ぎ目・折り曲げ部分は点検時に重点的に確認すべき弱点部位です。逆に穴あきや雨漏りがすでに発生している場合は、葺き替え・カバー工法を含めた現地診断が必要になります。まずは業者に屋根の状態を見てもらい、塗装で対応できる範囲かどうかを診断してもらうのが最初の一歩です。費用の目安を先に把握しておきたい場合は屋根塗装の費用相場相場計算機をご覧のうえ、複数の業者から見積もりを取って比較することをおすすめします。

よくある質問

トタン屋根とガルバリウム鋼板の屋根、どちらが錆びにくいですか?

ガルバリウム鋼板の方が錆びにくいとされています。日鉄鋼板の公式情報によれば、ガルバリウム鋼板は一般的な亜鉛めっき鋼板(Z27。いわゆるトタン)と比べて3〜6倍の耐久性が期待できるとされています。詳しくはガルバリウム鋼板の外壁はメンテナンスフリー?もご覧ください。

トタン屋根はいつまで塗装で維持できますか?

年数で一律に決まるものではなく、さびの状態で判断します。塗料メーカーのカタログでは、表面のさびを除去してさび止めを塗る工程までが仕様化されていますが、鋼板が腐食で欠損している(穴があいている)状態は塗装の対象外です。気になるさびや変色が見られたら、年数にかかわらず業者に現地診断を依頼することをおすすめします。

トタン屋根の塗装で「ケレン」が重要と言われるのはなぜですか?

ケレンとは、さびや劣化した旧塗膜を除去し、塗料が密着しやすい状態に下地を整える作業です。関西ペイントの公式カタログでは屋根塗装の標準的な素地調整として「高圧洗浄、3種ケレン程度の処理」でさびや劣化塗膜を除去するとされており、この工程が不十分だと、上から塗装してもさびの進行を塗膜の下で止められません。

トタン屋根に向いている塗料はありますか?

日本ペイント「サーモアイ」シリーズやエスケー化研「クールタイト」シリーズなど、トタン屋根を明示的な適用下地としている金属屋根用の塗料があります。いずれもさび止め効果のある専用の下塗り材とセットで使う仕様になっている点が共通しています。最終的な選定は現地の状態を見た業者との相談が前提です。

トタン屋根の塗り替え費用はどれくらいですか?

具体的な相場は屋根の形状や劣化状況によって変わるため、当サイトの屋根塗装の費用相場はいくら?で解説している全国の目安データをご確認ください。金属屋根は費用が上がる要因のひとつとして挙げられています。

出典

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