塗り替え時期を見極める
ガルバリウム鋼板の外壁はメンテナンスフリー? 塗装が必要になる理由
この記事は、官公庁・法令・メーカー公式情報などの一次情報と出典を確認したうえで、塗装相場ナビ編集部が作成・更新しています。編集方針については運営ポリシーをご覧ください。
この記事のポイント
- ガルバリウム鋼板は、アルミニウムの耐食性と亜鉛の犠牲防食作用によって錆びにくい設計だが、「錆びにくい」と「塗装が劣化しない」は別の話
- 表面の塗装(塗膜)は紫外線や雨風で経年劣化し、他の金属系外壁材と同様に変色・褪色や白亜化が進む
- ニチハ公式資料では、塗装表面の著しい変色・褪色や白亜化が目立つ状態が塗り替え時期の目安とされている
- メーカーは、より厳しい腐食環境向けに耐食性を高めた製品(エスジーエル等)も展開しており、立地条件によって鋼板の耐食性が変わることを踏まえた製品開発がなされている
- 傷がついて地鉄が露出した状態を放置すると、腐食の起点になり得るため、傷の有無も点検のポイントになる
※画像はイメージです(写真素材: Pexels)
「ガルバリウム鋼板は錆びにくいから、メンテナンスは要らない」という話を聞いたことがある方も多いと思います。しかし、鋼板そのものが錆びにくいことと、表面の塗装(塗膜)が劣化しないことは別の話です。この記事では、ガルバリウム鋼板がなぜ錆びにくいとされているのか、そして表面の塗装についてはどう考えればよいのかを、メーカー公式情報をもとに整理します。
この記事の要点
- ガルバリウム鋼板は、アルミニウムの耐食性と亜鉛の犠牲防食作用によって錆びにくい設計ですが、「錆びにくい」と「塗装が劣化しない」は別の話です。
- 表面の塗装(塗膜)は紫外線や雨風で経年劣化し、他の金属系外壁材と同様に変色・褪色や白亜化が進みます。
- ニチハ公式資料では、塗装表面の著しい変色・褪色や白亜化が目立つ状態が塗り替え時期の目安とされています。
- メーカーは、より厳しい腐食環境向けに耐食性を高めた製品も展開しており、立地条件によって鋼板の耐食性が変わることを踏まえた製品開発がなされています。
- 傷がついて地鉄が露出した状態を放置すると、腐食の起点になり得るため、傷の有無も点検のポイントになります。
ガルバリウム鋼板が「錆びにくい」とされる理由
ガルバリウム鋼板は、鋼板の表面をアルミニウム・亜鉛・シリコンからなる合金でめっきした鋼板です。素材メーカーである日鉄鋼板株式会社の公式サイトによれば、この合金めっき層は「アルミニウムの耐食性と亜鉛の犠牲防食作用」を組み合わせた設計で、一般的な亜鉛めっき鋼板(トタン)と比べて数倍優れた耐食性を示すとされています(出典: 日鉄鋼板株式会社公式サイト)。
さらに、めっき層には「自己修復作用」もあるとされ、亜鉛が溶け出した部分に、微細で凝集性のあるアルミニウムの酸化生成物が充填されることで、腐食の広がりを抑える働きがあると説明されています(出典: 同社公式サイト)。これが、ガルバリウム鋼板が「錆びにくい金属素材」と言われる理由です。
「錆びにくい」は鋼板(下地)の話、塗装(表面)はまた別
ここで押さえておきたいのは、上記の耐食性はあくまで鋼板そのもの(金属の下地)の性質だという点です。ガルバリウム鋼板の外壁材も、多くの場合、表面には意匠性や保護のための塗装が施されています。この表面の塗膜は、紫外線や雨風の影響を受けて経年劣化するという点では、他の外壁材の塗装と変わりません。
金属系サイディングメーカーであるニチハの公式資料では、「塗り替えは塗装表面が著しい変色・褪色や白亜化(チョーキング)などが目立つ状態が塗り替え時期の目安」と説明されています(出典: ニチハ公式サイト)。つまり、鋼板自体が錆びていなくても、表面の塗装が劣化していれば、塗り替えを検討するタイミングだということです。窯業系サイディングやモルタルなど他の外壁材の劣化サインとの違いについては外壁材別の劣化と塗り替え時期の考え方でも解説しています。
立地条件によって、必要な耐食グレードは変わる
日鉄鋼板は、通常のガルバリウム鋼板よりもさらに耐食性を高めた次世代鋼板「エスジーエル(SGL)」も展開しています。同社公式サイトによれば、エスジーエルはめっき層にマグネシウムを添加することで「ガルバリウム鋼板の3倍超の耐食性を実現」しており、特に切断端部や傷部などでの腐食抑制効果が大きく、「厳しい腐食環境でもガルバリウム鋼板を超える耐食性を実現」する製品として位置づけられています(出典: 日鉄鋼板株式会社公式サイト)。
このように、メーカー自身がより厳しい腐食環境向けの製品ラインを用意しているということは、立地条件(海に近い、酸性雨の影響を受けやすいなど)によって、鋼板に求められる耐食性が変わり得ることを踏まえた製品開発がなされている、と読み取ることができます。海に近い立地で建築・リフォームを検討する場合は、使用する鋼板のグレードについて業者に確認してみるとよいでしょう。
傷や異種金属との接触にも注意
表面の塗装やめっき層が傷ついて地鉄(鋼板そのもの)が露出した状態になると、その部分から腐食が進みやすくなると考えられます。傷を見つけた場合は放置せず、早めに業者に相談することをおすすめします。また、金属製の外壁材は、種類の異なる金属と長期間接触すると、双方の金属の性質によっては腐食が進みやすくなることが一般的に知られています。ビスや雨どい金具など、異なる金属パーツを使う場合は、施工業者が適切な組み合わせ・処理を行っているかも確認しておくと安心です。
まとめ
ガルバリウム鋼板は、アルミニウムの耐食性と亜鉛の犠牲防食作用によって、鋼板自体は錆びにくい設計になっています。しかし、これは「鋼板(下地)が錆びにくい」という話であり、表面の塗装(塗膜)が劣化しないという意味ではありません。塗装表面の変色・褪色・白亜化が目立ってきたら、塗り替えを検討するタイミングです。塗料グレードごとの特徴は塗料グレードの違い、費用の目安は相場計算機でご確認いただけます。
よくある質問
ガルバリウム鋼板の外壁は塗装しなくていいと聞きました。本当ですか?
ガルバリウム鋼板は、アルミニウムの耐食性と亜鉛の犠牲防食作用によって錆びにくい設計がされていますが、これは「鋼板が錆びにくい」という話です。表面の塗装(塗膜)は紫外線や雨風の影響で経年劣化するため、メンテナンスフリーというわけではありません。
ガルバリウム鋼板の塗り替え時期はどう判断すればいいですか?
金属系サイディングのメーカーであるニチハの公式資料では、塗装表面の著しい変色・褪色や白亜化(チョーキング)が目立つ状態が塗り替え時期の目安とされています。年数だけでなく、実際の外壁の状態を確認することが基本です。
ガルバリウム鋼板が「錆びにくい」のはなぜですか?
日鉄鋼板の公式情報によれば、アルミニウムの耐食性と亜鉛の犠牲防食作用を組み合わせた合金めっき層により、一般的な亜鉛めっき鋼板(トタン)と比べて数倍優れた耐食性を持つとされています。亜鉛が溶け出した部分にアルミニウムの酸化生成物が充填される「自己修復作用」も特徴のひとつです。
海に近い立地でも普通のガルバリウム鋼板で大丈夫ですか?
メーカーは、より厳しい腐食環境向けに耐食性を高めた製品(日鉄鋼板の次世代鋼板「エスジーエル」など)も展開しています。立地環境によって鋼板の耐食性に差が出ることを踏まえた製品開発がなされていることがうかがえるため、海に近い立地では、使用する製品のグレードについて業者に確認することをおすすめします。
傷がついた場合はどうすればいいですか?
表面の塗装が傷ついて地鉄(金属の下地)が露出した状態を放置すると、その部分から腐食が進む可能性があります。目立つ傷を見つけた場合は、放置せず業者に相談することをおすすめします。
出典
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