色を選ぶ
外壁塗装の色選びで失敗しないために — よくある後悔パターンと景観条例の注意点
この記事は一次情報(官公庁・法令・メーカー公式情報)を確認のうえ作成していますが、専門家による監修は現在準備中です。監修体制については監修者についてのページをご確認ください。
この記事のポイント
- 色選びの後悔で多いのは、色見本で見た印象と実際の仕上がりの違い(面積効果)によるもの
- 白すぎる・黒すぎる色を選んで汚れや色あせが想像以上に目立ち後悔するケースもある
- 自治体によっては景観計画・景観条例で建築物の外壁色に具体的な基準(彩度の上限など)を定めている場合がある
- 大阪府の例では、届出対象の大規模建築物についてマンセル表色系による彩度の上限が定められている
- 箱根町の例では、町内全域が景観計画区域に指定され、一般住宅にも落ち着いた色を基調とする方針が示されている
外壁塗装の色選びで失敗しないために — よくある後悔パターンと景観条例の注意点
この記事の要点
- 色選びの後悔で多いのは、色見本で見た印象と実際の仕上がりの違い(面積効果)によるものです。
- 白すぎる・黒すぎる色を選んで、汚れや色あせが想像以上に目立ち後悔するケースもあります。
- 自治体によっては、景観計画・景観条例で建築物の外壁色に具体的な基準(彩度の上限など)を定めている場合があります。
- 大阪府の例では、届出対象の大規模建築物についてマンセル表色系による彩度の上限が定められています。
- 箱根町の例では、町内全域が景観計画区域に指定され、一般住宅にも落ち着いた色を基調とする方針が示されています。
よくある後悔パターン
1. 色見本より主張の強い色になった(面積効果)
もっとも多い後悔のひとつが、色見本で見たときは上品に見えた色が、外壁全体に塗ると想像より鮮やかで主張の強い色に見えた、というケースです。逆に、薄い色を選んだつもりが、大きな面積になることでさらに白っぽく物足りない印象になることもあります。これは「面積効果」と呼ばれる、色は面積が大きくなるほどその特徴が強調されて見えるという現象が関係していると考えられます。詳しい仕組みと対策は 外壁塗装の色の選び方 で解説しています。
2. 汚れ・色あせが想像以上に目立った
白に近い色を選んだところ、数年でカビや雨だれによる黒っぽい汚れが目立つようになった、逆に黒に近い色を選んだところ、砂ぼこりや紫外線による色あせ・粉状化(チョーキング)が白っぽく目立つようになった、という後悔もよく聞かれるパターンです。また、日当たりの良い面と日陰になる面とで色あせの進み方に差が出て、ムラのように見えてしまうこともあります。
3. 周囲の街並みから浮いてしまった
自分の好みだけで色を決めた結果、完成後に周囲の住宅と見比べると、色の系統や鮮やかさが浮いて見えてしまったという声もあります。特に、住宅が密集する地域や、落ち着いた街並みが形成されている地域では、周囲との調和を意識しないと目立ちすぎる印象になりやすい傾向があります。
4. 地域の景観ルールを知らずに選んでしまった
上記3つと異なり見落とされがちなのが、自治体が定める景観計画・景観条例による色のルールです。次の章で具体的な例を紹介します。
景観条例・景観計画がある地域の注意点
景観法に基づき、都道府県や市区町村が「景観計画」や独自の「景観条例」を定めている地域があります。区域や建物の規模によっては、外壁の色彩について具体的な基準が設けられている場合があるため、色を最終決定する前に知っておきたいポイントです。
例1: 大阪府 — 届出対象の大規模建築物に彩度の上限
大阪府は、良好な景観形成を進めるため平成20年10月に「大阪府景観計画」を策定しており、道路軸・河川軸・山並み・緑地軸などの景観計画区域内では、届出対象となる大規模建築物の外壁の色彩について、すべての区域に共通する基準(外壁基本色)を設けています。具体的には、JISのマンセル表色系(色相・明度・彩度で色を表す方式)により、次のように彩度の上限が定められています。
- R(赤)・YR(橙)系の色相の場合: 彩度6以下
- Y(黄)系の色相の場合: 彩度4以下
- その他の色相の場合: 彩度2以下
(出典: 大阪府「大阪府景観色彩ガイドライン」)
これは、彩度の高い(鮮やかな)色の使用を制限することで、周囲の景観と調和した街並みを保つことを目的とした基準です。あくまで届出対象となる大規模建築物向けの基準であり、一般的な戸建て住宅がそのままこの数値基準の対象になるとは限りませんが、自治体が具体的な数値で色彩を規制している実例として参考になります。
例2: 箱根町 — 町内全域が景観計画区域、一般住宅にも指針
神奈川県箱根町は、平成21年6月に景観法に基づく「箱根町景観条例」および「箱根町景観計画」を制定し、町内全域を景観計画区域に位置づけています。景観計画区域内で一定規模以上の建築物・工作物の新築・増築・修繕などを行う際は、事前の届出を義務づけるとともに、良好な景観形成のための行為の制限(景観形成基準)を定めており、外壁の色彩は「褐色系、ベージュ色系、クリーム色系又は灰色系」とし、マンセル値による彩度の上限(たとえば褐色系は彩度3以下など)も具体的に示されています(出典: 箱根町「箱根町景観色彩ガイドライン」)。
一定規模以上の建築物向けの数値基準とは別に、同ガイドラインでは一般住宅についても、法的な義務ではないものの「箱根の自然や文化と調和するような暖かく落ち着いた暖色系色相の低彩度色を基調とする」ことが望ましいという方針が示されています。個人の好みが強く出る色は、外壁ではなくインテリアなど、よりプライベートな部分で楽しむことがすすめられています(出典: 同ガイドライン)。
まとめ: 事前に自治体へ確認するのが確実
以上のように、景観計画・景観条例の内容や、対象になる建物の規模は自治体によって大きく異なります。伝統的な街並みが保全されている地域や、観光地・別荘地など景観形成に力を入れている地域では、一般住宅も何らかの指針の対象になっている場合があります。外壁の色を最終決定する前に、施工予定地を管轄する自治体の都市計画課・景観担当窓口に、景観計画区域に該当するか、届出が必要かを確認しておくと安心です。
失敗を防ぐための対策
- 大きいサンプル・複数のタイミングで確認する: 面積効果を踏まえ、小さな色見本だけで判断しないことが基本です。詳しくは色の選び方の記事で解説しています。
- 基調色は控えめに、個性は小面積で: 大阪府のガイドラインでは、外壁など大きな面積を占める色を「基調色」、部分的に使う色を「アクセントカラー」として、アクセントカラーは全体の数%程度の小面積にとどめる考え方が紹介されています(出典: 大阪府「大阪府景観色彩ガイドライン」)。個性を出したい場合も、外壁全体ではなく玄関周りなど一部分にとどめると、面積効果によるギャップが起きにくくなります。
- 複数パターンを比較する: シミュレーション画像で2〜3パターンを比較し、周囲の街並みとの調和も含めて検討しましょう。
- 地域のルールを事前確認する: 前述のとおり、景観計画区域に該当するかどうかを自治体に確認しておきましょう。
まとめ
色選びの後悔の多くは、面積効果による印象のギャップと、汚れ・色あせの見え方、そして周囲との調和不足が原因です。加えて、地域によっては景観計画・景観条例による色のルールが存在することもあるため、契約前の確認が大切です。色選びの基本的な手順は 外壁塗装の色の選び方 で、見積書の内容確認については 見積書の読み方 で解説しています。費用の目安は 相場計算機 で、お手元の見積書は 見積書チェック でもご確認いただけます。
よくある質問
色見本で選んだ色と実際の仕上がりが違って見えるのはなぜですか?
「面積効果」と呼ばれる現象が関係していると考えられます。小さな色見本より、外壁全体という大きな面積に塗ったほうが、色の特徴(鮮やかさや暗さ)が強調されて見える傾向があります。詳しくは<a href="/column/iro/gaiheki-iro-erabikata/">色の選び方の記事</a>で解説しています。
自分の家が景観条例の対象になるかどうか、どうやって確認すればいいですか?
自治体によって景観計画区域の範囲や、届出が必要になる建物の規模の基準は異なります。確実に確認する方法は、施工予定地を管轄する自治体の都市計画課・景観担当窓口に問い合わせることです。
景観条例があると、好きな色を選べなくなるのですか?
区域や建物の規模によって基準の有無・内容が異なります。一般的な戸建て住宅は、大規模建築物向けの届出義務の対象外であることも多いですが、良好な景観づくりへの協力を求める指針が示されている地域もあります。契約前に自治体へ確認しておくと安心です。
汚れが目立って後悔しないためにはどうすればいいですか?
白に近い色は黒っぽい汚れ、黒に近い色は白っぽい汚れやムラが目立ちやすい傾向があります。極端に明るい・暗い色を避け、中間的な色も候補に入れて比較することをおすすめします。
色選びの失敗を防ぐために、業者に相談しておくべきことはありますか?
複数パターンのシミュレーション画像を作ってもらう、大きいサンプルで確認する、可能であれば実際にその色で施工した建物を見せてもらう、といった相談が有効です。
出典
あわせて読みたい